2007年09月14日発行1002号(2007年9月21日号)

【主張 テロ特措法廃止・新法阻止 / 自衛隊撤退の実現へ】

追いつめられた安倍

 9月8日、日米首脳会談で安倍首相はブッシュ大統領に、「給油活動継続に最大限努力する」と約束した。安倍はこれを勝手に「国際公約」と称し、9日の記者会見では「(給油活動が継続できなかった場合には)職責にしがみつくことはない」と「退陣」を示唆する発言を行った。これは安倍が追いつめられていることを示す。

 インド洋での米軍等への燃料補給は、アフガニスタン、イラクへの侵略、民衆殺りくのための戦闘を支える兵站(たん)活動でしかないことがあらわになってきている。「テロ防止」と言うが、アフガンではタリバンなどが「復活」し、民衆を巻き込む自爆攻撃や拉致・誘拐の被害はむしろ拡大している。アフガン民衆は、平和も安定した生活も手にしていない。「対テロ戦争」はすでに失敗している。そして、アフガン民衆と無関係の「国際公約」など、グローバル資本の願望を表明に過ぎない。今こそ安倍もろともテロ特措法を葬り去り、自衛隊を撤退させるときである。

超法規活動は戦争への道

 10日から臨時国会が始まった。参議院で与野党が逆転し国会で、テロ特措法延長法案が11月1日の期限切れまでに成立す見通しはない。そこで政府は、現行法で規定する捜索活動や被災民救援を削除し、給油活動一本に絞った新法提案の検討を始めた(9/10毎日)。新法では、自衛隊の活動に関する国会承認の規定を削除するという。

 現行テロ特措法も、自衛隊の派遣・給油活動等に関し国会の事前審査・承認を義務づけていない。「20日以内の事後承認」を規定しているのみだ。たてまえである「国会による文民統制」など現実には失われている。その結果、自衛隊は国民の目の届かぬところでイラク攻撃、ソマリア攻撃に参加する米艦船等に給油活動を行っていた。現行法下ですら、全くの超法規的、違法行為を続けてきたのだ。

 しかもそんな超法規活動がこの間繰り返されている。沖縄・名護沖への掃海母艦「ぶんご」の派遣、情報保全隊による市民活動へのスパイ・監視行動。このような何の法的根拠も持たず、国民の統制を受けぬ活動の積み重ね―容認こそ、軍の「暴走」を生み戦争の引き金となる。

 ところが新法は、現行法の規定すら制約とし、事前も事後もなく、自衛隊の海外活動に関する国会承認そのものをなくす。軍事組織の活動を完全に野放しにするとんでもないしろものなのだ。

民衆の力で自衛隊撤退を

 日本は明治以来、幾度も海外に軍を送り出した。その軍は「戦勝―凱旋」するか、「敗戦―武装解除」されるかで、民衆の力、反戦運動によって撤退させられたことはない。テロ特措法を廃止し、インド洋の自衛隊を撤退させるならば、それは日本の歴史上初めての経験となる。民衆の力で軍をコントロールできる時代を切り開く一歩となる。

 臨時国会会期は11月10日まで。テロ特措法の延長、新法の阻止を求め、延長反対署名を全国で集め国会に集中しよう。世界の反戦運動、イラクの民主的再建をめざすイラク自由会議(IFC)と連帯し、インド洋からもイラクからも自衛隊を撤退させるために全力で闘おう。 (9月10日)

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