2009年01月16日発行
1067号
【2兆円給付金などいらない 雇用拡大と生活保護にまわせ 大企業の雇用責任追及を】
|
12月24日、麻生内閣は2009年度政府予算案を閣議決定した。一般会計の総額は過去最
大の88・5兆円となる。
「生活の安心」とは無縁
09予算案は、「派遣切り」など非正規労働者の大量解雇が進む事態に各自治体による支援が始まる最中に編成された。麻生は、予算案のポイントを「世界的
な経済金融危機にあって、国民生活と日本経済を守るための政策を大胆に実行する」と表明。「雇用対策」として「派遣労働者の雇用。生活の不安解消へ」を掲
げ「重要課題推進枠を重点配分」するものの一つにあげざるをえなくなった。
だが、「重点課題推進枠」予算は3330億円で、うち「非正規労働者等就労支援対策」は51億円。推進枠のわずか1・5%に過ぎない。総額十数兆円にの
ぼる金融機関への救済策に比べれば、まさに”スズメの涙”だ。
「非正規労働者等」への支援と銘打った予算の総額は、重点枠の51億円を加えても93億円。事業内容も「非正規労働者への相談機能強化」「職業能力形成
機会に恵まれなかったものに対する職業訓練の充実」と、従来からの政策から何ら新たなものはない。
派遣社員やフリーターは「職業能力形成機会に恵まれなかった」のではなく、そもそもその機会を奪われてきたのだ。最大の責任は、安価で使い捨て自由の非
正規雇用労働者を拡大してきたグローバル企業と労働者派遣法など「労働規制緩和」を進めてきた政府自身にある。いくら「相談機能」「職業訓練」を強化した
ところで、正規労働者を増やす方向に根本的に転換しなければ問題は解決しない。それどころか、「休業等または出向を行なった事業主に対する休業手当の助
成」=いわばリストラ奨励金は、大企業向けも含め580億円もばら撒いているのである。
公的雇用創出こそ必要
金融大恐慌にさらされているのは日本だけではない。
日本と同じく、自動車大手が減産を進めるEU(欧州連合)諸国では、政府が直接介入し、労働者切り捨てに歯止めをかけている。ルノーが減産にともなう5
千人リストラを発表したフランスは、政府がその計画を公然と批判。サルコジ大統領が直接工場を訪問し工場閉鎖を撤回させ、企業負担で職業訓練費用と給与の
8割維持を確保させた。
ドイツでは、ダイムラー、フォルクスワーゲン、アウディなどが生産調整に入るが、労働者の解雇ではなく操業短縮の上、政府が給与の90%を保障する。集
団解雇に対して厳しい制限を課しているからだ。スペインでも、日産バルセロナ工場での1680人に及ぶ解雇が撤回され、一時帰休することで労使が合意し
た。影響を受ける労働者には、賃金の90%が支払われる。労使交渉にスペイン労働省が介入し、解雇をやめさせたものだ。
必要なのは、解雇や非正規雇用そのものを規制し働く権利を擁護すること、職業訓練中などをふくめ生存権を保障する生活保護費予算や失業手当などの大幅増
額だ。
麻生は、08年度補正予算で、世論の8割が批判し地方議会からも撤回・見直し決議が相次ぐ「2兆円定額給付金」に固執し、その事務経費だけで825億円
を計上している。給付金を撤回させ、雇用創出、社会保障予算に振り向けさせなければならない。
今緊急に予算措置すべきは、公務部門での人員増、非正規職員の正規化についてだ。「小さな政府」をめざす新自由主義的政策で、国も地方も公務員定数削減
を続けている。作り出された「人手不足」で、政府の調査ですら国で2万1千人、地方では45万5千人もの非常勤職員(その多くが年収200万円未満の”官
製ワーキングプア”)が生み出されている。「派遣切り」対策としてだけでなく、新卒者の内定取り消し、採用手控えへの対策としても、国・自治体自身の大幅
雇用拡大こそ図らねばならない。
財源は軍事費
財源はある。09年度予算案ではなお軍事費4兆7千億円が計上された。この中には、F15戦闘機の改修や護衛艦(駆逐艦)2隻の購入、ミサイル防衛など
大型装備品経費に加え、在日米軍への思いやり予算、グアム移転経費などが含まれている。被解雇者が自殺や犯罪に走る事態に、軍事に数兆円も費やすなどもっ
てのほかだ。また、大企業・富裕層減税をやめ10年前の水準に戻すだけで7兆円の歳入拡大ができる。
戦争と貧困を加速する新自由主義路線の延長線上の雇用・経済対策ではなく、新自由主義と決別する根本的転換が必要なのだ。
|
|