2010年01月01日発行 1115号

【闘いは終わらない 最高裁不当判決 雇用責任を認めず 派遣法は撤廃しかない パナソニックに損害賠償を命じる 人権侵害・雇い止めは不法行為】

  12月18日、最高裁第2小法廷はパナソニック(旧松下)プラズマディスプレイ(PDP)偽装請負裁判について、2審大阪高裁判決を破棄し、パナソニック の雇用責任を否定し人権侵害と雇い止めに関する慰謝料のみを認めるという不当な判決を言い渡した。だが、闘いは終わらない。「意地でも職場に戻る」という 原告吉岡力さんを先頭に、弁護団、支援者、吉岡さんに続く多くの非正規争議の当事者たちは、パナソニック攻めや各裁判闘争など派遣労働撤廃への力強い闘い のスタートを切った。

非正規切りを容認

 「この闘いは終わりません。後に続く仲間がいます」。最高裁南門前に、判決を受けたばかりの原告吉岡力さんの力強い声が響きわたった。「最高裁は何をしたか分かっているのか」。怒りをほとばしらせたこの問いかけが二度、巨大な白壁に向かってたたきつけられた。

 第2小法廷での判決言い渡しはわずか数十秒。「原判決中主文第1項1〜3を破棄し、被上告人(吉岡さん)の控訴を棄却する」「訴訟費用の6分の1を上告 人(パナソニック)の、6分の5を被上告人の負担とする」…。派遣先との雇用関係を否定し、雇い止めに至る不利益取り扱いだけを認定した不当判決だ。駆け つけた200人を超す支援者は「人間を使い捨てにする判決糾弾」「吉岡さんの職場復帰まで闘うぞ」とシュプレヒコールを繰り返した。

 08年4月25日の大阪高裁判決は、実際に労働者を指揮命令し労務提供を受ける派遣先大企業の雇用責任を認めた画期的なものだった。この判決を支持し 「派遣切り」「非正規切り」の横行に対する司法府の最終的審判を下すことが求められていたにもかかわらず、最高裁はその責務を投げ捨てた。

派遣法は限界点に

 記者会見で、村田浩治弁護士は「高裁判決のうち地位確認と元の職場での就労の権利、バックペイを認めた部分が破棄された。労働契約関係は誰と誰との間で 成立するかという労働実態に立ち入った判断を期待していたが、派遣である以上派遣元との間にしか雇用関係は発生しない、と形式的にとらえた。大変期待はず れだ」と批判。一方で、偽装請負の申告に対する報復としての人権侵害や雇い止めを不法行為と認定し損害賠償命令を維持した点については「違法派遣を摘発し て裁判を起こす労働者が多数いる中で、摘発に対し報復してはならないと企業に警鐘を鳴らしたもの」と指摘した。

 判決理由の中には「派遣法の趣旨や派遣労働者を保護する必要性を考えれば、派遣法違反の派遣が行われても、それだけでは派遣元との雇用契約は無効にはな らない」と述べたくだりがある。派遣先企業との雇用関係を認めないのは派遣労働者保護のためというのだ。こうした点に関連して村田弁護士は「判決は現行派 遣法の限界を示した。違法派遣があっても雇用責任までは求めない。裁判所は『現行法では救えない』と認めた」と断じた。派遣法は撤廃する以外にないことが 鮮明になったのが、この最高裁判決だ。

「情けない司法」

 吉岡さんは「偽装請負や派遣の労働者には労働者としての地位はないという判断を下した。日本の司法がいかに人権をないがしろにしているかを表している。情けない」と語り、職場に戻るまで闘い続ける決意を明らかにした(記者会見での発言要旨別掲)。

 支援者らはパナソニック東京本社前に移動し、「最高裁すらパナソニックの不法行為を指摘した。吉岡さんを職場に戻すまで何回でも来るぞ」と声を上げた。
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