2010年03月12日発行 1124号

【市政変革へ足がかり 東京・日野市議選の有賀精一さん 初挑戦で大善戦】

  無防備地域宣言運動を契機に、「ひの・平和で安心して暮らせる町をめざす会」は、地域から平和と民主主義を実現させようと地方選挙戦に挑んだ。2月22日 投開票された東京・日野市議会議員選挙(定数24)で、会が推した有賀精一さんは初挑戦ながら当選まであと76票と大善戦。1千票を超える支持を集め、地 域変革の足がかりを築いた。

「誠意が伝わった」

 「地盤(支持組織や地縁)も、看板(知名度)も、カバン(資金)も、何もない」中でスタートした初の立候補。告示から投票までの1週間、有賀さんは朝6時前から夜0時すぎまで駅頭に立ち、自転車で市内を回って200か所以上で訴えを続けた。

 「月桃の花」歌舞団のメンバーは歌とエイサーで街頭宣伝を盛り上げた。約5万枚のチラ シ配布、8千件弱の電話かけを行なう中で、選挙戦後半、名前が伝わっていき、感触はよくなったという。

 有賀さんが掲げた政策は「議員特権廃止」と「市民参加の開かれた議会づくり」。「議員報酬を半減すれば4年間で5億円、400人の保育所待機児童を解消 できる」との訴えは共感を呼んだ。また、市議会変革への思いから打ち出した「市民が参加できる時間帯に議会の開催を」「重要議題は議会だけでなく市民会館 で議論を」も、市民の賛同を生んだ。

 朝も夜も駅前で訴える姿に、駅を利用する市民から「誠実さが伝わってくる」「温かみのある訴えですね」「頑張ってください」と声がかかるようになった。支援した天満康司さんは「街頭に立ち続けた有賀さんの超人的な頑張りで市民に誠意が伝わった」と語った。

 地域でのさまざまな取り組みを通して、新たなつながりも生まれた。選挙を支援した一人Aさんは、有賀さんらが1月に市内で開催したイラク・サナフィルム フェスタに参加した。映画が好きで足を運んだところ、有賀さんの「戦争はなくせる」という訴えに衝撃を受けた。「正直、議会のことなどまだよくわからな い。でもどうやったら本当に戦争をなくせるのか、色々やってみればわかるかもしれない」と応援に飛び込んだ。街頭での選挙活動も全く初めての経験だった。 「電話かけシステムの十分な活用など、まだまだできた。やりきれば勝てる」と残念がる。

当選まであと76票

 得票は1061票。当選にはわずかに及ばなかったが、今回の「挑戦」を通じて得たものは大きい。さっそく、「次も頑張れ」と支援を申し出る市民も現れた。

 有賀さんは「4年後の市議選を待つまでもなく、市民と対話しながら、自分が今回掲げた政策を当事者と共に行動し議会に働きかけたい」と市政を変える決意 を語る。天満さんも「投票率は47・3%で浮動票はほとんどない。新たな投票者の掘り起こし、特に若い人とどう接点を作り出し訴えかけていくのかが重要に なる」と意欲的だ。

 選挙戦最終日、ある男性が声をかけた。「訴える姿に感動しました。今まで選挙に行ったことはないけど、明日初めて投票に行きます」

 有賀さんは大きな手応えをつかんだ。「この市議選を通して、市民と気持ちのやりとりができた。これが何よりの財産。本当に訴えれば伝わる。今後の市政を変える運動に向けた足がかりはできた」
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