2010年04月23日発行 1130号

【普天間問題−沖縄は怒っている 狩俣信子さんに聞く (那覇市無防備平和条例請求代表者) 軍事基地はどこにもいらない】

 10万人以上の参加をめざす4・25県民大会に向けて連日奮闘している狩俣信子さん(那覇市無防備平和条例請求代表者)に「普天間移設」など沖縄の基地問題の現状や闘いの展望を語っていただいた。(4月8日。まとめは編集部)

馬鹿げた「移設」案

◆女性集会も大きく成功しました。県民大会への意欲を。

 先輩の退職教員の仲宗根藤子さんから2月17日に電話があった。「県内移設と言ってるけど何かしないと」と言われ、すぐに各政党や婦人団体、平和団体に 声をかけ、23団体が集まった。集会名称や要請文の文言をめぐって激しい議論があったが、最終的にまとまった。急な取り組みだったが東村高江から宮古島ま で300人以上が集まった。

 先日、反省会をもったが、この動きを県民大会につなげ、当日の要請文も仲井真県知事や英文にしてオバマ大統領やルース駐日大使に提出するところまできている。女性集会も10万人以上集めることで決意を固めた。

◆「県内移設」案に対する県民の意見、狩俣さんのお気 持ちは?

 沖縄をまったくバカにしている。普天間の危険性を除去するといいながら、3段階で移設といい、最終的には勝連沖という。ものすごい強固な広大な軍事基地 を造ろうと言う案、沖縄の海を埋め立てることなど許せない。最終的に自衛隊と一緒にして、米軍専用施設75パーセントの割合を減らそうという。とにかく、 海を埋め立てることは絶対許せない。そこまで沖縄をバカにするのか、沖縄差別以外の何ものでもないと思う。

 基地がどこにもいらないのは当然と思う。県外の人たちも基地移設には反対というが、65年間沖縄に基地が押し付けられてきたことを理解してほしい。結 局、どこも受け入れ先がなかったから沖縄にというのは許せない。安保が必要、抑止力が必要というなら、沖縄の基地負担も平等に扱われるべき。

 すべての米軍基地はいらない。政府は、アメリカにこれ以上の基地はいらないと突き付けないといけない。民主党政権にはがっかりした。少なくても県外移設とは何だったのか、選挙だけのまやかしか。そんなのは許せない。

◆この普天間「移設」反対に問われていること、無防備運動で感じたことは?

 普天間移設は、沖縄が問われている問題でない、県外の皆さんが問われている問題。基地問題でよく県外にも講演に行くが、「沖縄大変ね」で終らないでほし い。国を動かす運動をぜひ一緒につくってほしい。気休めで沖縄の基地問題を聞かないでほしい。基地反対はみんな反対だと思う。県外の人も一緒に県内移設反 対で運動をしてほしい。県民大会にもそんな立場で来てほしい。

軍事より平和外交

 無防備運動は、全世界の基地や軍隊をなくすことをめざす運動として素晴らしいと思う。しかし、那覇市議会での論議で、軍隊や基地が必要という人も沖縄に いる中で無防備運動を進めていく難しさも感じた。無防備でも平和を創れることを理論的に多くの市民に納得させていく必要性を感じた。「脅威論」や「攻めて こられたら」に対して説得していくことが課題だと感じた。日本の外交も、軍事同盟でない外交政策に転換させていくことも大事と思う。普天間だけの問題でな く、勝連も、嘉手納も、基地はどこにもいらない。

◆グアムにも昨年行かれました。グアム移設についてはどう考えますか。

 軍事主義に反対する女性ネットワーク国際会議があったので、行ってきた。グアムは、アメリカの植民地だった。地下水の水利権も海軍がにぎっている。軍用 地代も一度支払ったら終わり。ひどい支配体制。チャモロ(グアム島先住民族)の子どもたちの文化や教育をどう残すのかと最近運動を始められた方から、海兵 隊が8千名、家族が9千名来たらどうなるかと言われた。米軍基地による環境破壊や化学物質汚染で、リゾートといいながら地元では魚も食べられないという。

 グアム知事は最初、移設に賛成みたいだったが、今は知事も立場が変わった。米軍がやっていることのひどさを米軍被害がある参加国がどこも訴えた。チャモロの女性たちは、グアム移転に反対だ。

撤去運動を全国に

◆4・25県民大会、5月1・2日の集会に向けて、本土へのメッセージを。

 沖縄に基地はもういらない。基地のタライ回しは、もうやめてもらいたい。山内徳信先生が国会で、島ぐるみ闘争になると言った。それぐらいの気持ちで取り組んでいる。全国の皆さんと米軍はアメリカ本国に持ち帰らせる撤去運動を一緒に取り組みましょう。

◆ありがとうございました。

   *  *  *

 狩俣信子さんは、これまで高校教員のかたわら労働運動に参加、全国でも初めての女性の県高教組委員長や県立女性総合センター「てぃるる」の初代館長な ど、人権、平和、女性運動の先頭に立った。那覇市議、沖縄県議など歴任し、現在も「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」幹事や先日那覇市内で開催さ れた「3・26普天間基地の県内移設に反対する女性集会」の事務局の中心として集会を担う。
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