2011年04月08日発行 1177号

【「計画停電」は原発優先・電力失政のツケ 今、原発廃止の声あげる時】

  大震災の影響で電力供給に支障が生じたとして、東京電力は史上初めての「計画停電」に踏み切った。市民生活を無視した不公平ででたらめな停電の結果、関東 地方は大混乱となっている。声高に叫ばれる「電力不足」は、東電・政府一体の利益優先・原発推進至上主義の責任を回避するものであり、ウソとごまかしだら けだ。

実は電力は余っている

 2007年、新潟県中越沖地震で柏崎刈羽原発が停止し、電力危機が起きた。政府は電気事業法の規定に基づき、電力の需給状況の報告を東京電力に求めた。 その報告によれば、東電管内の最大電力需要は6430万キロワット(東京の最高気温が38度だった2001年7月24日の電力使用量)。これに対し、柏崎 刈羽原発停止後も東電は6254万キロワットの発電能力を維持、としていた。

 東電は、東日本大震災・福島原発停止により、電気供給能力は3350万キロワットと発表している(3月17日現在)。東電の情報隠し体質は悪質で発表も そのまま信頼できるものではないが、管内の最大電力需要に対し3千万キロワット程度不足するとして、電力不足―計画停電を正当化しようとしている。

 しかし別のデータがある。資源エネルギー庁が発表した「2010年度電力供給計画の概要について」によれば、日本全国で電力の供給能力は「供給予備力」 を含めて2億1863万キロワット。東日本大震災による供給力減少分3千万キロワットを差し引いたとしても1億8863万キロワットであるのに対し、需要 は最大でも1億6965万キロワット。日本の電力は不足などしていない。

利益優先と失政のツケ

 全国的に電力が余っているにもかかわらず、首都圏で電力不足が引き起こされている理由のひとつに周波数問題がある。周波数とは交流電気方式における1秒 間の電気振動の回数を示す数値である。60ヘルツなら、1秒間に電気振動が60回であることを示す。

 日本の電力草創期の1880年代、静岡県の富士川を境に東側はドイツの技術支援で50ヘルツを採用し、西側は米国の技術支援で60ヘルツを採用。その後 の電力の発展は東西別々となった。戦後の復興時が周波数統一の最初で最後のチャンスといわれたが、電力業界が目先の利益にとらわれ復興を優先して、この唯 一のチャンスを失い、現在に至ったのである。

 電力10社のうち、周波数50ヘルツは北海道、東北、東京の3社のみ。残る7社(中部、関西、北陸、中国、四国、九州、沖縄)はすべて60ヘルツだ。東 日本大震災では東北電力と東京電力2社の管内に被害が集中したが、中部以西7社からは、周波数を変換しない限り電力2社管内には給電できない。

 電力は不足しているのではなく偏在しているに過ぎず、偏在は周波数統一を怠ってきた電力業界の利益優先主義が原因だ。政府と電力業界は、そうした怠慢と 電力失政のツケを「計画停電」によって国民に押しつけ、危機を乗り切ろうとしている。

 偏在する電力を有効活用するため、東西をつなぐ周波数変換設備の建設を進めることが必要だ。

原発至上路線が元凶

 根本的な責任は、東電と政府の原発至上主義にある。国民の生活や安全をさておいて代替エネルギー開発にも目をつむり、ひたすら原発建設を優先してきたこ とが、破局的事態を生み出した。

 原発は、発電力を調整できないため常にフルパワーで運転し続けなければならない。このため、十分発電可能な既存の火力発電所や水力発電所を休止してまで 危険な原発を運転する本末転倒な電力政策が続けられてきた。発電量から見ても原子力は全体の3割に過ぎない。休止中の火力・水力発電所等の再稼働と企業の 使用電力削減で補うことは十分可能だ。

 日本の電力消費量のうち3分の2は企業部門が占め、製造業だけでも全体の4割に当たる(「2008年度におけるエネルギー需給実績」資源エネルギー 庁)。電力に過度に依存した大量生産・大量消費企業活動を根本的に改めることが求められる。電力業界が余剰電力の活用手段として売り込みに躍起となってき た「オール電化」をやめるだけでも原発2基が不要になるとの試算もある(3/23読売)。

「原子力か停電か」と脅し

 原発に頼らなくても電力供給が可能な事実が国民に知れわたれば、もはや新たな原発建設はできなくなる。政府・電力業界は、福島原発事故後もなお原発推進 を続けるために、”原発なしには電力が絶対的に不足する”と危機感をあおり国民を洗脳しようとしている。計画停電もその一環だ。

 経済産業省原子力安全・保安院の西山審議官は3月23日、米ウォール・ストリート・ジャーナル紙のインタビューで、「原子力の代わりは停電だ」と述べ た。原発に反対するなら不便な停電に耐えよ、というあからさまな脅しだ。

 今回、日本が経験した「フクシマ事故」は、79年のスリーマイル島事故を超え、史上最悪の86年チェルノブイリ事故に匹敵する規模になりつつある。もう 原発は地球上のどこにも要らない。

 ただちにすべての原発を停止しなければならない。電力10社体制―電力業界に徹底した民主的規制を加え、その下での国有化も視野に入れ、国民本位の電力 への転換を進めなければならない。
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