韓進重工業争議が勝利
韓国プサンの韓進(ハンジン)重工業造船所で闘われていた整理解雇撤回争議が11月10日、勝利和解した。合
意の内容は、(1)解雇された94人の1年以内の再就職(2)生計費1人2千万ウォン(約140万円)支給、な
ど。高さ35メートルのクレーンで抗議の「籠城」をしていたキム・ジンスクさんは309日ぶりに笑顔で地上に降
り立った。
勝利をもたらしたのは、争議に連帯して5次
にわたり組織された「希望のバス」の取り組みだ。フェイスブックやツィッターでの呼びかけに応え、多種多様
な人々が自発的にバスに乗って駆けつける。塀を乗り越えて現場を「解放区」にし、クレーン上のキムさんに声
援を送り、発言し、歌い、「非正規職のない世界をつくろう」と誓い合う。
希望のバスは、イ・ミョンバク政権の新自由主義政策に苦しむ広範な市民の共感を集め、行動を促した。それまで
企業別に分断され長期化を強いられていた解雇撤回・非正規職撤廃の闘いを一気に社会問題化。政治をも動かし、8
月には国会が韓進重工業会長に対する聴聞会を開いた。
原点は2008年の米国産狂牛病牛肉の輸入に反対する100万人ろうそくデモにある。命より金儲けを優先する
社会であってはならないとする市民の自覚が、「解雇は殺人」と訴える労働者の生存権への叫びと劇的に結び合い、
勝利を導いた。
オキュパイ運動は続く
この勝利は「99%」の民衆が「1%」の富裕層に勝てるという見事な実例となる。
10月15日、地球を一周したオキュパイ(占拠せよ)デモ。10月29日ワシントンでは、投機目的の金融取引
への「ロビンフッド税」導入で貧困問題を解決せよと主張して財務省に向け行進した。11月2日にはカリフォルニ
ア州オークランドで、オキュパイ行動に参加したイラク帰還兵に警察が催涙弾を命中させ重傷を負わせたことに抗議
して3万人の市民がゼネスト。商店も銀行も港も閉鎖された。
ユーロ危機の震源地とされるギリシャでは、さまざまな社会団体と市民でつくる公的債務監査委員会が発足。ギリ
シャの債務は貸し手によって押しつけらた不正な債務であり、ギリシャ国民に返済の義務はない、と宣言し、
IMF(国際通貨基金)と決別し返済を停止したエクアドルの例にならって債務を帳消しにさせる闘いに踏み出して
いる。
「お前たちの危機のツケをわれわれに払わせるな」。これが「99%」の合言葉だ。
イラク民衆革命に連帯
8年半前、「1%」の中でも最も好戦的な勢力が敵対者の排除と武力による市場開放をもくろんで仕掛けたイラク
戦争。しかし、占領と占領に後押しされた利権山分け腐敗政治に対する民衆の闘いは、ついに米軍撤退を年内に終了
させるところまで到達した。世界のオキュパイ運動とつながり、イラク民主主義革命は新たな段階を迎える。
IFC(イラク自由会議)サミール議長は「欧米政府と国際金融機関による労働者の賃金と生活、社会の富に対す
る攻撃と闘う戦線を築こう。世界の政治を変革するために私たちが巨大な動きになろう」と呼びかける。これに応
え、「99%」の力で世界を変えよう。
(11月14日)
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