2011年12月23日発行 1212号

【非国民がやってきた!(124)  井上ひさしの遺言(2)】

 茫洋たる海原。凡庸たる偽作者。偽ひょうたん島、むこうからすごいスピードで突進してく る。あわやカメラと衝突! と思いきや、偽ひょうたん島、カメラの前で急停止する。(ブレーキの音)と思ったが、ブレーキが間に合わず、ドカ〜〜ンと大き な音で衝突。(音楽「テーマソング」)

 ♪なみをジャブジャブ
 ジャブジャブかきわけて

偽博士――(中山千夏の声を真似て)ひどい衝突音だな。今度はどこに着いたんだろう。今日は井上ひさし先生の遺言の発表会なのに。

偽ダンプ――とても変な島に・・・

偽チャッピ――つまりなに?

偽テケ――はらがへった。

偽チャッピ――ふざけないで!

偽サンデー――島の斜面に大きな看板が立っているわ。

偽博士――周りを通る船のために、この島の説明が書かれた案内板だね。

偽ダンプ――大きな字だね。「MDS王国」だって。

「MDS王国」という赤い文字が大写しになる。

偽博士――これは・・・モスト・デプリーテド・ソーシャリズム(まるでダメな社会主義)の王国だ。

一同――丸出だめ夫さんの?

偽博士――ううん。『週刊少年マガジン』連載の森田拳次さんの漫画『丸出だめ夫』には、MDSなんて出てこないよ。

MDS・・・そうか、メルト・ダウン・ソーシャリズム(まったくドジな社会主義)だ!

偽サンデー――それよりも、約束の時間になりましたから、井上ひさし先生の遺言を。

偽サンデーがバッグから文書を取り出して広げ、偽博士に渡す。

偽博士――じゃあ、読むよ。

その時、ダッ、ダッ、ダダダダーンと銃声の音。偽博士が持っている紙が吹き飛んで、穴だらけになる。

偽ダンディ――フッ、この島に来て40年だが、射撃の腕は衰えていないな。

偽博士――ひどいよ、ダンディさん、井上ひさし先生の遺言が穴だらけになっちゃった。これじゃ読めないよ。

偽博士が拾い上げた紙がアップになる。

 「こ××で『9×を守×、×法を守×』と声××げ、『×争をしない、交×権×××ない』とい××否×路線を×××きた。×こで×感××××、100%守 ×××現×維×なの×××。守×、守××××だけ×は先×進ま××。だか××年は『する』×××を置×たい。一×でも×歩でも×××む。××よう××れわ れ×意識××えて×××い。

 ××えば、ジュ××ブ諸×約××づく『無××地××言』の条×××運動です。無××地×の考××は憲×9×の非×装××主義に××がされて×××した。 動×武器、××り兵×がい×い、××された軍×基×は封印××、市××戦う意×××いなど××件を満×す『無××地×』であ×××を宣××た場合、×際× 約によって××を禁止××います。こうした××地域を日本×国のあち×ちに誕生×××いのです。」

<参考文献>
井上ひさし・山本護久『ひょっこりひょうたん島T』(ちくま文庫、1990年)
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