2011年12月30日発行 1213号

【外務省を人間の鎖で包囲 韓国水曜デモ1000回に連帯】

 1992年1月、韓国の日本軍「慰安婦」被害者がソウルの日本大使館前で始めた水曜デモは 12月14日、1千回を迎えた。これに連帯して日本でも1300人が人間の鎖で外務省を包囲した。

 外務省正門に「日本軍『慰安婦』問題『解決済み論』を乗り越え、日本政府は韓国政府と協議せよ」の横断幕が掲げられ、参加者はプラカードや寄せ書きを手 に庁舎を取り囲んでいく。解決を求める全国の自治体意見書や欧州議会決議などをのぼり旗に記し、国内外の世論の力を外務省に突きつける。12時10分過 ぎ、全員の手がつながり、外務省包囲が完成した。


「早く謝罪しろ」

 主催団体代表の梁澄子(ヤン・チンジャ)さんが「今日は新たな始まり。被害女性が受け入れられる解決策を政府が示すまで、共に闘いましょう」と宣言。糸 数慶子(無所属)、服部良一(社民党)両衆院議員も駆けつけ、「水曜デモ千回の本日までに解決をと迫ってきたが、実現できなかったことをお詫びする。早い 解決のため頑張る」(服部議員)とあいさつした。

 元在日「慰安婦」裁判原告で3月11日宮城県で被災した宋神道(ソン・シンド)さんが88歳の高齢をおして車いすで参加。「慰安婦にされたことはしっか り解決してくれなければ死んでも死にきれねぇ。早く謝罪しろ。裁判は負けても心は負けねぇ」。拍手と握手攻めを受けながら、外務省を一周した。

予想の倍の参加

 この日、在日特権を許さない市民の会らヘイト・クライム(人種差別犯罪)集団は日の丸を押し立て、「従軍慰安婦はただの戦時売春婦です」など歴史偽造の たわごとを並べ、差別むき出しに「朝鮮人帰れ」と連呼。人間の鎖後、院内集会が開かれた議員会館前にも街宣車を横付けし、参加者を威嚇した。東電前アク ションの園良太さんは「そもそも右翼に国会前での妨害を許すこと自体おかしい」。街宣車に向かって「右翼は帰れ帰れ」と怒りをぶつけた。

 主催団体の戦時性暴力問題連絡協議会の事務局は「人間の鎖に必要な700人の確保に必死だったが、倍近く来てくれて正直びっくり。8月30日の韓国憲法 裁判所の決定を受け、韓国外交通商部は日本外務省に政府間協議を申し入れた。院内集会では、民主党議員らに、申し入れを受け協議に入るよう政府に働きかけ ることを理解してもらうことに意義があった」と話した。


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