2012年04月06日発行 1226号
【派遣法は廃止しかない グローバル資本の意を受けた派遣法改悪 「みなし雇用制度」は争議つぶし】
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3月8日、民主・自民・公明3党により製造業・登録型派遣の原則禁止を削除する労働者派遣
法の改悪案が衆院を通過。論議もないまま、28日には参院本会議で採決が強行され、成立した。

実質大連立で改悪を強行
グローバル資本は、民主・社民・国民新党が作成した当初の派遣法改悪案に対してすら「アンチビジネス(反企業活動)」とクレームをつけ、民・自・公に派
遣労働を温存するさらなる改悪案を準備させた。
改悪法案をグローバル資本は「現在の経済情勢を踏まえた妥当な内容だ」(中村芳夫経団連副会長兼事務総長)と歓迎した。
動きの止まっていた派遣法改悪が急に動き始めたのはなぜか。新自由主義批判の強まりに危機感を抱いたグローバル資本が巻き返しに転じているからだ。野田
政権になって実質的な大連立状態(民主・自民の談合)をつくりだし、原発再稼働や消費税増税、TPP(環太平洋経済連携協定)を一気に強行しようとする策
動と同じだ。
加えて対抗する労働運動の側に深刻な弱点がある。既存の労働組合は民主党政権に期待をかけた。非正規労働の当事者が主張している派遣法廃止要求を中心に
据えるのではなく「派遣法抜本改正」を唱えた。当初の改正案を「規制強化案」と歓迎し、民・自・公の修正案は規制が骨抜きにされたから「不十分」として、
なお参院での再修正を求めた。事実上、派遣法改悪の後押しをしている。
「抜本改正」を唱える人々は、「みなし雇用制度」(違法派遣等があった場合に派遣先との間に労働契約申込みがあったものとみなす制度)を画期的なものと
して歓迎し、修正案で施行が3年後に延期されたことに憤慨する。
非正規争議の当該は反対
しかし、パナソニック争議の吉岡力さんやキヤノン争議の阿久津真一さんなど非正規争議の当該は、この「みなし雇用制度」に反対している。自分たちが受け
た違法派遣・偽装請負に抗議→有期の直接雇用→雇い止め(解雇)を正当化し、今後も非正規労働者のもの扱いが合法化されるからだ。
改悪案に盛り込まれた「みなし雇用制度」について改めてみてみよう。
まず、制度が適用される違法派遣は、(1)派遣禁止業務への従事(2)無許可・無届けの派遣元からの受け入れ(3)期間制限を超えての受け入れ(4)い
わゆる偽装請負(5)登録型派遣の原則禁止に反した受け入れ、の5つ。実際の派遣労働の現場では、事前面接や採用試験といった特定行為、多重派遣、パワハ
ラやセクハラなど明らかな違法行為や人権侵害が横行しているが、それらは除外されている。
次に、この5つの違法派遣に関しても、派遣先が「知らず、かつ、知らなかったことに過失がなかったときは、この限りではない」として制度は適用されな
い。違法行為を「知らなかった」と言い張られると処罰できない法規など、全く法律としての意味をなさない。労働者は、使用者が確信犯であったことを立証す
るという高いハードルを越えなければならない。
では、明らかに違法派遣であり、派遣先の故意・過失を立証すれば、晴れて派遣先の正規雇用となれるのか。そうではない。
派遣時の契約を引き継ぐ
法案の最大の問題は「その時点における当該派遣労働者に係る労働条件と同一の労働条件を内容とする労働条件の申込みをしたものとみなす」という規定であ
る。すなわち、派遣先に直接雇用されるとき、派遣(請負)時の派遣元(請負会社)との労働契約をそっくり引き継ぐとされている。派遣(請負)契約が有期雇
用契約であれば、派遣先との契約も有期雇用とみなされる。
吉岡さんや阿久津さんのように違法派遣や偽装請負を告発し直接雇用となった労働者の雇い止めなどさまざまな不法・報復も合法とされ、闘うことをできなく
する法案なのである。
派遣法は修正するたびに毒性を増してきた。抜本改正ではなく廃止するしかない。グローバル資本の非正規労働者使い捨てと最前線で闘う争議当事者の要求は
派遣法廃止だ。

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