2012年12月07日発行 1259号

【反戦イラク帰還兵が沖縄に アーロン&アッシュ全国スピーキングツアー 米兵に「共に立ち上がろう」と訴え】

 「空にはオスプレイ。陸ではレイプ」。県民の怒りが沸点に達している沖縄に反戦イラク帰還 兵がやって来た。

 米兵の夜間外出禁止令下でも毎週のように繰り返される暴行や住居侵入事件。そんな最中の11月15日深夜、IVAW(反戦イラク帰還兵の会)の一員であ るアーロン・ヒューズとアッシュ・ウールソンが那覇空港に到着した。20日からの全国スピーキングツアーは沖縄からスタートする。

 翌16日、闘いの最前線・普天間基地の野嵩ゲートをはじめ普天間爆音訴訟団事務所などを訪問。ゲート前では、出入りする米兵のYナンバー車に「NO!オ スプレイ」のボードを掲げて声をかける。17日には、名護市辺野古と東村高江。どちらも米軍の新基地建設を阻止しようと闘い続けるテント村の現場だ。 18〜19日は、那覇市国際通りのテンブス館で、2人の美術作品を展示。アーロンが企画するイラク流の「ティー・プロジェクト」で参加者15人との交流会 も行った。


「強かんは訓練の証し」

 11月20日、那覇市の県立博物館美術館で「反戦イラク帰還兵 米日政府を撃つ!!」を掲げた講演会。約1年イラクに派兵された帰還兵だからこそ語れる 体験が明らかにされた。

 アッシュは「軍隊は構造的暴力であり、兵士による強かんや暴行事件が繰り返されるのは訓練の証し。人間性を破壊しなければ殺人ができる兵士に育てられな い。暴行事件を上官はむしろ喜んでいる。兵士による事件は沖縄だけではない。世界各地の米軍基地や米国内の基地周辺でも引き起こされている」。衝撃的な発 言が続く。イラクでの戦闘を想い起こしたのか、精神を安定させるためのハーブの香りを湿らせたハンカチで何度も顔を覆うアッシュ。自らもPTSD(心的外 傷後ストレス障害)を抱える。

 アーロンは「沖縄は米軍に占領されている、とアッシュが語っていた意味が来てわかった。軍は末端の兵士の命など何も気にしていない。オスプレイが危険な こともわかっている。兵士も助けを求めている。沖縄の非暴力の基地撤去の闘いは必ず勝利する。普天間を2日間閉鎖したような闘いはイラクと沖縄しか知らな い。米兵の人間性を回復するには基地撤去しかない」。

 会場には170人が駆けつけほぼ満席に。ツアー関連商品も完売した。

ゲート前行動に参加を

 21日は、普天間基地に隣接する沖縄国際大学の国際平和学の講義で講演。受講生など280人が集まった。

 学生たちと同じ年代でイラク戦争に派兵された2人。その話に学生も真剣なまなざしで聞き入った。事前に質問が集められていた。「学生に期待していること は何か」の問いに、アーロンは普天間のゲート前行動に参加することを呼びかけた。アッシュは「米兵への声かけは、”ヤンキー・ゴー・ホーム”ではない。彼 らも本当は帰りたい。“上官ではなく自分の良心に忠実に、我々と共に立ち上がろう”と呼びかけてほしい」。

 県内の米軍に対する怒りは最高潮となり、ゲート前は米兵に対する憎しみに満ち溢れている。ツアーに向けた2人のメッセージ「今こそ人間がわかちあい、手 をつなぐとき」の意味が明快になった。米軍兵士も貧困層出身であり、米政府による犠牲者だ。敵対心だけではなく、県民と反戦帰還兵との基地撤去に向けた共 闘を呼びかけている。

【今後のツアー日程】
12月1日(土)12時30分 99%ユースフォーラム参加(日比谷図書館)
12月2日(日)13時30分 川崎市総合自治会館 第1会議室
12月5日(水) レイバーネットTV出演(http://www.labornetjp.org/tv
12月6日(木)18時 東京・北区岸町ふれあい館
12月8日・9日(土・日)9時30分〜16時30分 丸木美術館展示


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