2013年02月01日発行 1266号

【なぜ「入れ墨調査」を拒否したのか 寄稿 大阪・十三(じゅうそう)市民病院 森厚子さん 2月18日に第1回口頭弁 論 橋下への怒りをぶつける】

 12月27日、大阪市に対し入れ墨調査拒否についての不当処分取り消しを求めて大阪地裁に 提訴しました。今年はこの裁判を軸にさらに頑張りたいです。

患者の人権を守ってきた

 私は看護師として市民病院で35年間働いてきました。患者さんに信頼してもらえるよう、職員のチームワークを大切にし管理者に対しても自分の意見を出し てきました。

 看護師は患者の一番近くにいる患者の擁護者であるべきです。どんな患者さんにも分け隔てなく接し、プライバシーも含め患者さんの権利を守り、様々な個性 や生き方・考え方を尊重して信頼関係が作れてこそ、いっしょに病気と闘う支援者となりえると思ってきました。

 入れ墨調査は、そんな私の看護や患者さんに対する思いとは相いれないものでした。調査票を見た時、人体図を示して体のことを描かせるなど、全く無神経 で、なぜ職員に義務として強いる必要があるのかと嫌悪感をもちました。患者の人権を守るべき自分たちがこんな人権侵害を認めていいのか。大腿や腰など人に は見せないところまでどんな理由で聞くのか。嫌悪感は、私自身が足などにあざがあり、見られたくない、知られたくない、という思いからもきています。

 体のことに触れてほしくない、という権利は主張できます。離れ離れになった子どもの名前を彫って生きる糧にしている人もいます。自殺未遂から立ち直って 入れ墨の痛みに耐えて生きる力にしている人、おしゃれの表現できれいな模様を足首などに入れている人もいます。入れ墨がある人をすべて不適格者と決めつけ 仕事を奪うのは許せない。処分される、命令だ、あなただけですよ、と言われても応じることはできませんでした。

 憲法違反のこんな調査を強制する職務命令に従うことはできないし、処分で脅してどんなおかしな命令でも従わせ職員を下僕のように扱うことは許せません。 調査を拒否したことで戒告処分を受けましたが、処分は不当であると裁判に訴えました。

 この闘いは、橋下市長が市民を苦しめる政策を職員に脅しと厳罰で押さえつけて進めさせることに歯止めをかけることにつながると思います。

  職場では、私の思いをビラにして配ったり、署名をお願いしたりしています。橋下の強権的なやり方や職員いじめに怒りがあり、何とかしてほしいと、私のこと も好意的に見てくれています。「母子家庭なので処分を考えると調査がおかしいと思っても書くしかなかった」と語ってくれた人もいました。調査に応じてし まって悔しい、できることをしたいと撤回させる会に入って活動に参加してくれる人もいます。不当な処分をはね返し、当たり前のことが言えて、患者も市民も 職員も大切にされる職場にできるよう、署名を広げようと思います。


職員支配と闘う

 また、昨年末病院局の私に対する人事考課では、入れ墨調査を拒否したことを嫌悪して低い評価とされ、看護師としての適性までも否定されました。これが職 員支配のための人事考課制度の本性だと実感しました。こんなことでひるんではいけない。職員間で競争させて最下位ランクは首にできるという職員基本条例の 不当性と闘うためにも、この人事考課制度を拒否しようと決意しています。

 街頭で署名に立つと、橋下は嫌い、おかしい、と市民が寄ってきます。原発や広域がれき問題などで嘘をつき市民の命も暮らしも守らないことに怒りは高まっ ています。市役所前で、関西電力前で、あらゆる所で声を上げ、市民が立ち上がれば変えていける。この思いを広げ多くの人とつながっていきます。

◆第1回口頭弁論
2月18日(月)14時45分 大阪地裁809号法廷

◆橋下市長による入れ墨調査拒否者への不当処分の撤回を勝ち取る集い(仮称)
2月18日(月)18時30分 エルおおさか(天満橋)

◆連絡先 橋下市長による入れ墨調査拒否者への不当処分を撤回させる会
Tel 06-6242-8130
E-mail;tekkaisaserukai@yahoo.co.jp


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