2013年02月15日発行 1268号

【キヤノン争議勝利報告集会開く 非正規雇用なくす新たな運動へ 垣根越えた共闘の力 歴史的勝利に祝福の声 泣き寝入りせず後に続く決意】

最高レベルの解決水準


 昨年末、正社員雇用を含む解決をかちとったキヤノン偽装請負争議の勝利報告集会が2月3日、都内で開かれた。キヤノン非正規労働者組合の5人をはじめ、弁護団、共に闘った争議団・労働組合など約180人が参加、歴史的勝利の喜びをかみしめ合った。

 来賓あいさつで、けんり総行動実行委員会の佐々木史郎・全統一労働組合書記長は「派遣や偽装請負という働き方がまん延した社会に対し真っ正面から闘い、 見事に勝ちぬいた。労働運動全体がこの勝利をバネに次の闘いにつなげたい」、小関守・東京争議団共闘会議議長は「雇い止めのリスクを乗り越えて組合をつく り、団交権を行使し、偽装請負を労働局に告発する闘いをずっと職場でがんばっていた。それが解決につながる土台になった」と勝利の意義を強調。根本隆・全 労連副議長は「非正規では最高レベルの解決水準」と評価した。

 キヤノン本社がある大田区の地域労組からも祝福の言葉が。「大企業を相手に泣き寝入りしないと立ち上がった皆さんと闘ってきたことを誇りに思う」(大田 区労協・堀内由美事務局長)「経団連会長という巨大な象を揺り動かした闘いに敬意を表する」(大田労連・寺田末美事務局長)

 「労働者派遣法という世紀の悪法とそれを補完する松下PDP最高裁判決―大きい壁との闘いだった」と振り返ったのは笹山尚人弁護士。「法律や判決がどう あれ“こんなのおかしいじゃないか”という思いでみんなが団結して闘えば、動かない山も動く。事実を積み上げていったとき、勝てる。そのことを学んだ」

組合の垣根を越えた

 萩尾健太弁護士は「5人が以前入っていたある労働組合は『組合の垣根を越えて支援を呼びかけることはけしからん』と。そこを抜け、多くの労働者と相互支援し合う運動をつくったことが今日の勝利に結びついた」と指摘した。

 その「垣根を越えた共闘」を象徴するように、けんり総行動に加わる争議団、東京争議団加盟の争議団、どちらにも属さない争議団が次々と登壇し、キヤノン争議に続く勝利へ決意を表明した。

 元東京地評オルグの小野寺忠昭さんも駆けつけ、「今日の勝利は新しい時代の画期的な一歩となる布石を打った。この闘いを個別に終わらせず、新しい時代を呼び込む運動主体・組織主体をみんなと討論しながらつくっていくことが重要」とエールを送った。

 組合員5人が祝福に応えてマイクを握る。

 大野秀之さんは「偽装請負を告発した後、仲の良かった正社員に無視され、直接罵声を浴び、子どもの運動会に乗り込んで来られたことも。がんばってこれた のは、ここにいる多くの仲間と5人のおかげ。今日のような日が来るとは想像もできなかった。言えるのは皆さまへの感謝の気持ちだけです」。

「支援の仲間のおかげ」

 元原告団長の阿久津真一さんは「冒頭陳述したとき、たくさんの人にきてもらった。赤の他人である自分たちをこんなに多くの人が支援してくれる。人生の中でこれほど人に感謝したことはない。今、その恩返しになる解決ができたと思う。本当にありがとうございました」。

 キヤノン非正規労働者組合を支える会の伴幸生さんが今後の行動提起を兼ねて閉会あいさつ。「子会社とはいえ職場に戻ったので、キヤノン資本との新たな労使関係ができる。非正規労働という身分制度のような働かせ方をなくす一歩として、組合を残し、闘いを始める。

 2月28日、首切り自由を許さない実行委員会再開の集会を開く。10年前、整理解雇4要件崩しに始まった労働者の権利侵害の流れに、大きく歯止めをかける。反転攻勢で団結してがんばりたい」






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