2016年06月24日発行 1433号

【ウチナーびけん 落ちこぼれ平和ガイドがゆく!! (2)】

 沖縄の平和ガイドには、「ポイントガイド」と「乗車ガイド」というものがある。

 「ポイントガイド」とは、主にガマ(戦争中の防空壕のようなもの)など1か所をガイドするもの。対して「乗車ガイド」とは、観光バスに乗り込んで1日(半日の場合も)車中と見学地にてガイドをするものだ。

 私がガイドできるガマは、諸事情により「シッポウジヌガマ」と呼ばれるガマのみで、沖縄戦中、県庁や警察の機能を避難させたという、いわゆる「役人」が入っていたガマである。

 ちなみにガマポイントの所要時間は1時間と設定されている。時間刻みの修学旅行では「○○から○○まで△△分??そんな時間で着くワケないだろ!沖縄よっぽど狭いと思ってんじゃねーの?」という行程の組み方をしている学校もたまにあるが、基本的には時間に厳しい。しかしほとんどのポイントガイドではその日の行程など知らされていないので、自分の役割だけ全うすればそれでいいのである。

 私が案内するガマは、バス乗降車位置から現地までが遠い。1クラス約40名がぞろぞろダラダラ行くと10分ぐらいかかるので往復20分はとられ、実質ガイドできるのは40分しかない。

 「ポイントガイド」は、修学旅行の行程中に唯一専門のガイドが入る、とても重要で責任重大な役割だと思っている。バスガイドさんでは話せないことを話さなければと気合が入る。

 私はガマで起こった話だけをすればいいとは思っていない。せっかく飛行機に乗ってやってきたのだから、私は、ガマに入る前に沖縄戦の概要を説明することにしている。すでに事前学習で勉強済みとも思うが、もう一度それらを現地で聞く繰り返し学習に重きを置いている。そして沖縄戦の最大の特徴である「日本で唯一住民を巻き込んだ地上戦」であったということを「ビジュアルフラッシュ」(文字や絵を見せて印象づけること)を用いて伝えている。

 効果のほどはわからない。が、そんなことまで丁寧にやってしまうので、持ち時間の1時間をオーバーし、添乗員の冷たい視線を見ないようにしつつ、今日もにこやかにバスを見送る私なのである…。

   (真地<まあじ>ガマ子

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