2016年07月29日発行 1438号

【ひだんれんと原訴連が福島県交渉/住宅提供打ち切り前提の「意向調査」/戸別訪問はやめろ≠ニ追及】

 参院選ただ中の7月8日、原発被害者団体連絡会(略称、ひだんれん)と原発被害者訴訟原告団全国連絡会(仮称、原訴連)の2団体が福島県交渉を行い、福島県内と山形、東京、神奈川、京都などから30名の避難者が参加した。

 今回の交渉は、ひだんれんと原訴連による初の共同行動(5/31)での申し入れに対する回答を受けて行われたものだ。新たな要請項目((1)住宅提供打ち切り前提の戸別訪問の中止(2)無償提供打ち切りを強行実施しないこと(3)全避難者への平等な住宅提供策の実施(4)無償提供継続に伴う費用は東京電力に求めること(5)内堀県知事の出席)を県当局に突きつけた。

 交渉時間が2時間と限られ、今回は「戸別訪問」と「住まいに関する意向調査」の問題点を追及することになった。

 冒頭、生活拠点課職員は「国と協議を重ねた結果、応急救助という考え方からこれ以上の延長は難しいと判断した」「除染で生活環境が整いつつある。もはや直ちに避難するような状況にはない」と、まるで避難している者が悪いという口ぶりだ。京都の避難者から「だったら私を説得してみて下さいよ。できますか!」と怒りの声がとぶ。

各地で追い出し訪問

 戸別訪問の対象世帯は1万800世帯。打ち切り後の住宅が決まっていない世帯が対象だ。1回目として、6月26日までに県外避難者の77%、県内避難者の52%の訪問を終えたという。不在世帯も多いため、来年3月までに3回の訪問を計画している。

 県職員は「追い出すための訪問ではない」「戸別訪問でのトラブルはない」と説明するが、実態はかけ離れている。東京の避難者は「来ると開口一番、3月31日までに出て行くように言われる」「不在だと携帯電話に電話がかかり、ショートメールも送ってくる。はては書留で『訪問させてください』と通知が届く」と追い出しの実態を暴露した。多くの避難者が精神的に追い詰められている。こうした事例は各地で起きている。

 交渉団は「打ち切り方針があるからこうした事態が起こっている。戸別訪問は中止を」と強く求めた。県職員は「反対であれば電話でいいので意思表示をしてほしい」と表明せざるを得なくなった。

 京都の避難者は「全国から福島県にイエローカードが出ている」と強調した。全国12地方議会で採択された意見書や請願のことだ。しかし、内堀県知事はこうした声すら無視し、避難者と会うことを拒否し続けている。避難者の命をないがしろにしている。

 次回交渉は8月9日。県の支援策を巡る交渉となる予定。全国から避難者、支援者の総結集で福島県庁を大きく包囲し、打ち切り方針の撤回を実現しなければならない。

 (うつくしま☆ふくしまin京都―避難者と支援者のネットワーク・奥森祥陽)

 
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