2016年08月19・26日発行 1441号

【放射能健康被害・原発再稼働を止めよう】

 2016ZENKOin大阪2日目の7月31日、原発をめぐって4つの分野別討議・交流会が開催された。再稼働や原発輸出反対、帰還強要阻止の声を上げた。

 分野別討議「原発再稼働と放射能健康被害を止めよう」には約80人が参加、活発な討議を交わした。

 基調提案を受け、まず、放射能健診100万人署名運動実行委員会による福島現地健康調査が報告された。福島市を中心に、回答者の2割が疲労感があると回答。家族に疲労感があるとした人も2割いた。3割がこの1年以内に病院に行っていた。避難生活を経験した人は17%に上った。

 「国・県への要望」では、「正確な情報の公開」「子どもを中心に継続的な健康調査を」「原発をゼロにせよ」「完全賠償や医療の実施」などの声があった。「来年3月の住宅支援打ち切りは死ねというものであり、撤回せよ」の回答は、住宅支援打ち切り=帰還強要政策への怒りが避難者だけでなく福島でも強いことを示す。

 報告は、全体として「健康被害があるという回答が多く、また生活困窮が大きな問題になっている」とまとめられた。安倍政権の棄民政策は、福島でも避難先でも被災者を追い詰めている。

 続いて、「月桃の花」歌舞団によるミュージカル『ガマ人間あらわる』の8月福島公演に向けた紹介。沖縄に避難した妹に、姉が帰還を促しながら、自らも放射能への不安、棄民政策への怒りをを隠して生きている―そんな人びとの姿をメンバーが熱演した。

飯舘村から現地報告

 続いて佐藤八郎飯舘(いいたて)村議からの報告だ。穏やかで淡々とした口調だが、佐藤村議からは飯舘村の厳しい現実が報告された。

 「飯舘村は福島第1原発から30〜50キロメートル。人口6000人で1700世帯。面積は230平方メートルの酪農・野菜生産中心の村だ。お互い様≠フ精神で村民が互いに分け与えながら生活してきたため、村民所得は最下位だが貧富の差が小さい。3月11日、村で作業をしている人には音が聞こえたが爆発と思わなかった。放射能を実測してみると、SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)は正しかった。村のアドバイザーの教授らが村民避難を勧告したが、菅野行雄村長から『もうあなたたちとは話をしない』と言われ、彼らと村との関係も切れた。やがて山下俊一教授が長崎から来て、避難は不要と言い始めた。避難指示はマスコミ報道で知った」と憤りを語る。

 「除染は放射性物質を隔離しないと意味がないが、実際は拡散しているだけ。だんだん手抜き工事で工期を守るだけになった。面積は村の15%だけでそれも適当な除染。85%は放射性物質が残ったまま、基準値を上げて住民を帰そうとしている。オリンピックだけ成功させる。ゼネコンだけ儲けさせ、アベノミクスは成功という話を安倍政権はしている」とつよく批判した。

 福島県除染アドバイザーだった田中俊一氏(現・原子力規制委員会委員長)が「空間線量が1〜2μSvなら年間被曝量は1_Sv以下に抑えられる。飯舘村の子どもたちが、世界一放射線の知識を持つようになればすばらしいこと」と、福島県内の教職員にとんでもない「激励」していたことも明らかにした。

 「甲状腺がん多発に関し、村内の反応はどうか」という会場からの質問に対して、佐藤村議は「健康診断はしており、再診断が必要な人が3人くらい出ている」と答えた。

 放射能健診100万人署名実行委員会の小山潔さんは「医学的に健康アンケートはどこまで有効かわからないが、大切なのは数を集め住民と対話すること。最低1000人分集めたい」と健康アンケートの意義と取り組む抱負を述べた。

 その後は伊方、福井現地での闘いの報告。伊方からは、四国電力の市民無視のずさんな対応や自治体の非現実的な避難計画の実態、福井からは裁判闘争の現状が報告され、再稼働反対の行動方針が論議された。

署名強化など決議

 討議を経て、(1)放射能健診100万人署名運動強化(2)福島県内で健康調査アンケートを1000枚集め、健康被害と県民の要求を明らかにし、福島県との交渉強化(3)10・8「ガマ人間あらわる」福島市公演と公演参加交流ツアーの実行、8・14福島公演スタート企画の成功(4)全国で放射能健康調査アンケートに取り組み自治体交渉を強化、放射能健診100万人署名を1年で15万筆集中(5)川内原発の即時停止、全原発の再稼働阻止へ、高浜、伊方原発30キロ圏内自治体要請を実施し、再稼働反対の意見書採択を実現―などの決議を採択した。



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