2016年08月19・26日発行 1441号

【フィリピン貧困地区の教育支援コンサート/99%の思いを発信/認め合い つながりあう=z

 7月23日、フィリピン・マニラの貧困地区の就学前教育施設ABAKADAを支援する"EVERY CHILD IS MY CHILD PEACE コンサート"がABACADA代表の平和音楽家ポール・ガランさんを招いて行われた。主催したフィリピンAKAY(注)支援コンサート実行委員会事務局長の古武家育子さんに報告を寄せてもらった。(注:AKAYはABAKADAの略称)

 2016年のコンサートは、関西各地域の支援者らが協力し、大阪市内のドーンセンターで開催。170人を超える参加で立ち見も出る盛況ぶりでした。

 フィリピン、日本を問わず、子どもたちの貧困や生き苦しさが語られています。実行委員会では、海を越え貧困の壁を乗り越える力を共有できるコンサートにしようと確認しました。99%の思いを発信し、認め合いつながりあえるコンサートをつくることがフィリピンAKAYを支える。この趣旨を伝え、多様な9団体・個人の出演、21団体の出店参加が実現。命・人権が尊重される社会への思いを若者スタッフたちとも共有できました。

ありのままを歌う

 コンサート本番。出演者はみなありのままの自分を思いっきり表現しました。

 地域に根づく大阪市獅子舞クラブの子どもたちの自信にあふれた踊り。軽快なステップで民族ダンスをにこやかに踊る在日フィリピン人の子どもたち。3・11以降埼玉県川越市から神戸に避難し活動する総合工作芸術家だるま森+えりこさんは、手作り楽器ハルオンハープ演奏と「セカイジュウノコドモタチ」への思いを表した絵と語り。観客を不思議な世界に誘います。音楽を支えに自分を表現する難病の青年を包み込み、強烈なジャズ・サックスでメッセージを伝えるSwing MASAさんと若者バンド。沖縄・福島への思いを発信する「月桃の花」歌舞団や阿部ひろ江さん。

 そんな雰囲気に励まされ、ペルー出身で神戸育ちの青年ジョナタンさんは「自分のありように悶々とした中学時代だったが,今ありのままの自分でいいと思えるようになった。ペルーの貧しい子どもたちも含め教育を受けることで自分らしく生きる権利があることに気づいてほしい。同じ立場にいる子たちの励みになったら」と歌いあげました。

貧困と戦争に抗する

 こうした演奏に応え、円熟味を増したポール・ガランの歌声が力強く響き渡ります。豊かな海につながる海岸がセメントで固められ、生活が苦しくなった故郷を思う『バクララン』。高校中退者対象の学習システムにも着手したABAKADAの『使命』。戦争のきな臭さが迫るフィリピンで、ABAKADAを起点に地域の子どもたちを貧困や軍事化から守る教育の充実を訴えます。

 最後は、全員で「戦争は答えでない」「今こそ私たちが手をつないで立ち上がる時だ」と『WE SHALL OVERCOME』を大合唱。会場全体が一つになる熱いコンサートでした。

 海を越えて互いの現状や活動、思いを知りつながることは、一人ひとりをパワーアップし、貧困や戦争に抗(あらが)う力となります。福島から大阪に避難している後藤キャサリンさんは「(今も福島で暮らす息子家族や同胞に)放射能の健康被害のことを伝えたい。避難の選択は間違っていない」ときっぱり。コンサートで語る姿に、その力が体現されていたように思われました。

 2017年1月6〜9日、マニラ平和大会・ピースキャンプを企画しています。地域で写真展などを通して広く呼びかけたいと考えています。参加、賛同など、ご協力よろしくお願いします。

◆問い合わせ フィリピンAKAYプロジェクトをともに創る会 090-9885-6680







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