2016年09月23日発行 1445号

【ストップTPP緊急行動・関西で発足/臨時国会での承認阻止/1%対99%の闘い≠全分野から】

 「ストップTPP緊急行動!発足集会」が9月9日、大阪市内で開催され、約200人が参加した。「緊急行動」となっているのは、9月26日開会の臨時国会でTPP(環太平洋経済連携協定)の承認、関連法案成立が狙われているからだ。

 TPPは2月の12か国代表による署名後、各国とも国内手続きに入っている。米国では大統領選候補が反対を表明するなど批准が危うい状況と見る安倍首相はけん引役を買ってでた。自公両党間ではTPP最優先、11月初め成立との日程さえ言われている。

 集会では同志社大学の田淵太一教授が講演。「TPPとは自由貿易協定の衣を着せた巨大企業による世界支配の道具」(米NGOパブリック・シチズンのロリ・ワラックの定義)と強調した。

 TPPは政府の言う「自由貿易協定」ではなく「投資協定」だと断言する田淵さんは、その最たるものとしてISDS(投資家対国家紛争処理)条項を上げる。企業が他国政府を相手に訴訟を起こし、補償金を手にできるISDS訴訟は急増。ビジネスにもなっていると紹介した。グローバル資本はその国の法制度を都合よく変更させるばかりか、税金までも「補償金」として奪っていくのだ。

 田淵さんは「反TPP論者の中にも、どちらが『国益を守るのか』との誤った論点がある」と指摘。「TPPは『米国対日本』のような国家間対立の構図ではなく、『1%対99%』との対立である」と反対の根拠を整理した。

 「TPP交渉差止・違憲訴訟の会」幹事長の山田正彦弁護士(元農水相)がゲスト参加。TPPは付属書もあわせ6300ページに及ぶ。日本語の正本はない。山田さんらテキスト分析チームが条文を訳出した成果を踏まえ、危険性をあげた。「第2章4条で原文は『関税撤廃』とあるものを農水省は『関税の措置』と訳した。7年後の再交渉では関税撤廃で水田は消える」

 TPPで打撃を受けるのは農水産業だけではない。山田さんは医療・国民皆保険にも言及。雇用や公共事業などその影響は生活全般におよぶと警鐘を鳴らす。反TPPの闘いもまた全分野にわたる運動団体の結集が問われている。

国会山場に全国行動

 参加団体の拡大に尽力した元衆議院議員服部良一さんは主催者あいさつで「安倍は米大統領選前にも承認するつもりだ。本日から、再スタート。今後も、いろんな分野から呼びかけ人を募り、声をあげていきたい。臨時国会での承認阻止にむけた緊急行動を成功させよう」と訴えた。集会時の呼びかけ人は、大学教授から市民団体、労働組合、政党など様々な立場の29個人・団体。山川義保全交共同代表も名を連ねる。

 国会審議山場となる10月15日、東京に呼応して関西でも行動に取り組む。9月26日には大阪ヨドバシ梅田店付近での情宣活動が呼び掛けられた。

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