2016年10月14日発行 1448号

【1448号主張 憲法破壊を加速する安倍 すべての闘いを団結まつりへ】

自民改憲草案の撤回拒否

 9月26日、第192臨時国会が始まった。

 安倍・自民党は、憲法をめぐる議論で改憲を狙う基本姿勢を公然と打ち出した。9月25日のNHK番組で、二階幹事長は「(自民党改憲草案を)撤回するところまでは考えていない」と明言。9月27日衆院本会議で、安倍首相も「撤回しなければ議論できないという主張は理解に苦しむ」と述べた。明らかに自民党改憲草案を憲法審査会での議論の中心に置こうとしている。

 安倍が撤回を拒む自民党改憲草案は、基本的人権、国民主権、平和主義という現憲法の三大原理を根本から否定し、戦争と新自由主義のための独裁国家をめざす。現憲法原理の破壊にこそ、安倍改憲の最大の狙いがある。

憲法破壊の既成事実化

 すでに実質的な憲法破壊が進行している。

 安倍政権は、憲法9条を破壊する戦争法を実行に移しつつある。11月に南スーダンPKO(国連平和維持活動)に派遣される陸上自衛隊部隊は、武器使用を伴う「駆けつけ警護」「宿営地の共同防衛」の訓練を始めている。

 集団的自衛権行使のために日米共同訓練も強化が進む。9月12日、米軍のB1爆撃機2機と航空自衛隊のF2戦闘機2機が九州周辺で訓練。8月29日〜9月21日には、滋賀県あいば野演習場で日米合同演習が行われた。9月26日、「日米物品役務相互提供協定(ACSA)」が改定され、自衛隊による米軍への補給、弾薬提供が可能になった。

 安倍政権は、自衛隊・米軍による海外侵略のための拠点を沖縄につくることをもくろむ。高江ヘリパッド建設について安倍は「先送りは許されない」と述べ、新基地を拒否する沖縄の民意への敵意をあらわにした。現地では、自民改憲草案の緊急事態条項を先取りして無法の限りを尽くし、高江でも辺野古でも基地建設を強行しようとしている。

 武力行使は必ず戦死者を伴う。所信表明演説の中で安倍は、任務に従事する自衛隊員を称えて自ら拍手し、自民党議員は起立して拍手で応えた。海外で殺し殺される兵士の栄誉≠称えるような異様な光景が演出された。

 一方で、貧困化政策により憲法25条の生存権も侵害されている。生活保護、介護、年金など命を支える社会保障の切り捨てが進む。今国会では、残業代ゼロ法案の成立やTPP(環太平洋経済連携協定)承認案強行も狙われる。

 いくら美辞麗句を並べようと、安倍が戦争・貧困化政策を進めていることは隠せない。この暴走を止めよう。

署名広げ団結まつりへ

 10月23日、東京10区と福岡6区で衆院補選が行われる。市民・野党共闘を実現して勝利しなければならない。

 鍵になるのは市民の運動の力だ。平和と民主主義をめざす全国交歓会 (ZENKO)は、平和と命を守る「沖縄・改憲阻止緊急署名」10万筆達成を呼びかけている。この署名運動と一体の取り組みとして、10月23日に東京、30日に大阪で沖縄連帯と改憲阻止の団結まつりが開催される。高江現地で闘う儀保(ぎぼ)昇さんと伊佐真次(いさまさつぐ)さんも参加する。安倍の戦争・貧困・原発推進に反対するすべての闘いを結集して成功させよう。

 (10月2日)
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