2016年10月28日発行 1450号

【福島で公演「月桃の花」歌舞団『ガマ人間あらわる』 感動と共感℃氓ヘ郡山で】

 「月桃の花」歌舞団は10月8日、フクシマ・オキナワとつながる希望のミュージカルコメディ『ガマ人間あらわる』を福島市音楽堂で上演。約100人の観客の感動を呼んだ。福島公演実行委員長の岡崎仁さんと歌舞団のKさんに報告を寄せてもらった。

福島公演が意義あるきっかけに、と願う

 10月8日、『ガマ人間あらわる』上演当日は雨にもかかわらず約100人のお客様をお迎えし、盛況のうちに公演を終えることができました。歌舞団、サポーター、応援してくださった皆様、福島公演実現にご協力いただき誠にありがとうございました。

 早いもので、3・11の震災から5年半が経ちました。

 国・自治体は問題を認めず、除染されていない場所が残り、至る所から放射性物質が飛散し、小児甲状腺がんは170人を超えたにもかかわらず、健康被害や放射能の話をタブー視させる雰囲気があります。報道は、福島の人は普通に暮らしていると伝えます。

 しかし、実際は、身近な食材を安心して食べることもできず、原発事故以前とは全く違う生活です。今回の福島公演にご参加くださった皆様が、問題を見据え、より考えが発展し、輪が広がって健康で幸せな社会を創るための一つのきっかけを見つけてくれたら良いと思っています。

 思い起こせば、最初に街頭宣伝をしたのは今年の4月、3人で雨の中、狭いアーケードの下でのチラシ配りでした。8月プレ公演の頃には、福島でのサポーターが増え、実行委員会も活気にあふれるように。本公演では、MDSなどの皆様のご協力も得て、無事終えることができました。

 2つの高校演劇部の方が観に来たことはうれしかった一つです。お客様がどのように受け取ったかは分からないけれど、伝えたいことは伝わったと思います。また、歌舞団や関係者の皆様と苦労を含め、楽しい時間を共有できたことをうれしく感じました。公演がすべての皆様の有意義な経験となることを願っています。

(福島公演実行委員長・岡崎仁)


「声あげ、行動したい」現地の想いが成功に

 福島の地で公演したいと、公演準備会を開催したのが今年の3月。そして、大きな成功を手にすることができた。

 まず、原発事故、放射能問題がすでに終わったかのように帰還政策が推し進められ、放射能≠ニいう言葉もなかなか出しにくい福島で、「原発、戦争、そして貧困をなくしていこう! つくられた分断を越えて、希望をつくり出していくことはできる」と歌舞団メッセージを発信し、感動と共感を呼んだことだ。「複雑な問題をここまでの作品にするところに感銘を受けました。問題意識をもつきっかけとなる点において、とてもインパクトのある作品」「最後の歌『ダイレクト』が印象に残りました。人の命について考えさせられた(15歳)」と多くの感想が寄せられた。

 次に、福島で暮らす人たちとの対話を積み重ねる中で、公演を広げてきたこと。そのために、福島駅前での宣伝、署名行動に力を注いできた。はじめは不安いっぱいで始まった宣伝。しかしエイサーや歌で宣伝空間をつくり、放射能健診署名実行委員会とともに署名を集めるなかで「小さい子どもを持っている親は心配でしょうね…」「3・11直後は気にしていたけど、ずっと気にしていられないから。慣れてしまったかな」など、心の奥底にある迷いや不安に触れることができた。

 さらに、毎回の実行委員会に新しい仲間の参加が実現できた。岡崎実行委員長1人からスタートした福島現地の実行委員は、15人を超える人びとが宣伝活動、チケット販売に動いた。また、エキストラに福島現地実行委員3人が出演した。ある実行委員は「プレ公演を観てメッセージがいいから、本気で宣伝しようと思った」と語る。「この命を使い捨てる社会を変えたい。そのためにこの公演を広げたい。声をあげ行動したい」という福島の人の想いの表れであり、それが100人の参加者をつくり出した。郡山からの2人の参加者からは「郡山公演に向けて動き出している」と報告があった。

 黙らされ閉ざされたガマ≠フような社会を打ち破り、つながって生きていくために、この福島公演の成功から、郡山をはじめ福島県内への巡回公演へつなげたい。

(「月桃の花」歌舞団・K)

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