2016年11月11日発行 1452号

【団結まつり前夜祭 沖縄・高江から伊佐真次さん報告/あらゆる手を尽くし建設阻止へ/全国から安倍打倒の闘いを】

 沖縄県東村(ひがしそん)高江から、村議で「ヘリパッドいらない住民の会」の伊佐真次(まさつぐ)さんが10・30団結まつり参加のため来阪。前夜祭で、ヘリパッド建設反対、安倍政権打倒へ共闘を呼び掛けた。報告要旨を紹介する。(まとめは編集部、4・5面に関連記事)

返還の「交換条件」?

 小さい時は沖縄市泡瀬で暮らしていた。近くには嘉手納基地があった。沖縄は米軍基地だらけ。陸上だけでなく、沖縄島(おきなわじま)を囲むように訓練海域があり、さらに空域がある。射爆場もある。

 北部訓練場は、SACO(沖縄に関する特別行動委員会)合意で、約7800haの内4000haの返還が決まったが、返還地の既存ヘリパッド移設が条件だった。地元の東村は99年と06年、2度反対決議を上げた。沖縄大学、広島大学の調査で貴重な生物種が多数発見され、計画見直しの意見書が出された。建設は断念されたと思っていた。

 ところが07年、工事着手を新聞で知らされた。政府・防衛省は、独自に「環境アセスメント(影響評価)」を実施。自然度が高いことを認めたものの、「配慮する」と言いながら建設を強行した。IUCN(国際自然保護連合)はジュゴン、ノグチゲラの保護を求め、ゼロ・オプション(建設中止)を含む見直しを勧告している。今年9月、国立公園に指定されたが、訓練場を除く全く狭い範囲でしかない。今後、世界自然遺産登録をめざすというが、その中に軍事訓練場があってはできない。

 北部訓練場の一部である安波(あは)訓練場域が返還された。ところが宇嘉川河口付近の水域を新たに提供する条件だった。これまでのジャングル訓練に加え、新たな訓練が可能となる。面積は半減してもヘリパッドの数は減らない。過密となり、訓練区域外も飛び回る。

 訓練場の中には4つのダムがある。沖縄の水源地だ。2年前、ダム湖近くの山にヘリが墜落したことがあった。訓練場内のため職員は調査にもいけず、1年以上取水停止になった。また、ダム湖には演習に使う「ペイント弾」が1万発も投棄されていた。照明弾や軍服まで見つかっている。米本国では、こんなことは許されないだろう。

生活を奪う建設工事

 住民に支持されない運動では続けることが難しい。2か月ほど前、琉球新報が高江住民にアンケートを行った。80%がヘリパッド反対、20%は答えず、賛成は1軒もなかった。その後、機動隊による反対派排除のための検問が始まり、畑作業も妨害されるようになる。反対派の行動に対しても住民から苦情があった。村議として聞いた。先週、「報道特集」スタッフが同じようにアンケートを行った。反対の状況はほとんど変わっていなかった。

 大阪府警機動隊員の差別発言があったが、反対運動の中でも気をつけるべきところだ。住民の会で「座り込みガイドライン」を道路に出している。「私たちは非暴力です。コトバの暴力を含め誰もキズつけたくはありません。自分の意志で座り込みに参加しています」と書いてある。現場では興奮し、エスカレートする場合があることも事実だ。だが、公務員が職務上で差別言葉を言うのはわけが違う。「土人」の意味も知らない20代の隊員が口にしたのは、警察組織の中で常日頃そんな言葉が使われているのだろうと思う。

 私は、機動隊員に新聞の写真を見せ、「この森の破壊に加担したんだよ。少しは反省してね」と語りかけたこともある。あるお母さんは、「同じ年頃の孫がいる。私は戦争体験をしたからここにいるんだよ」と心にしみる話を聞かせる。中には目を潤ませる隊員もいる。彼らが、子どもを育てる時に思い起こしてくれればと願っている。

 現場での闘いとともに、裁判も重要になっている。高江住民を中心に、建設差し止め訴訟に踏み切った。建設中止の仮処分も求めている。仮処分は10月20日、1回目の審尋があった。2回目は11月10日。同時に本訴の1回目となる。仮処分は工事完了前、12月の初旬には結論が出る。

 全国では安倍政権を倒す運動をしなければならない。沖縄ではオール沖縄で闘っている。大阪でも一つになって闘ってほしい。ともに頑張ろう。

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