2016年11月18日発行 1453号

【議会を変える 政務活動費は1円も受け取っていません 大阪府枚方市議 手塚たかひろ】

 兵庫県議が政務活動費不正取得の記者会見で号泣したことは記憶に新しい。その後も、富山市議・県議、大阪市議・府議をはじめ全国各地で不正取得問題が明らかになった。領収書の改ざん、飲食費への流用など詐欺といえる。

 自民党や維新から民進党、共産党議員まで不正取得を行っていた。政務活動費自体が不正を生みやすい制度なのだ。

 国会議員には、領収書のいらない月65万円の立法事務費が認められている。地方議員にもこのように「使い勝手のいい」金がほしい、議員報酬の引き上げは市民の理解が得られない―そう考えた地方議員が国会に働きかけて2000年地方自治法を「改正」し、まず政務調査費が作られた。議員報酬上乗せの役割を持って生まれた制度だ。しかも税金がかからない。

 政務調査費は「調査活動」に限定されるのでもっと自由に使いたい、と2012年法改定が行われた。交付目的に「議員の調査研究その他の活動に資するため」とその他の活動≠追加し政務活動費となった。「政党活動」「選挙活動」「後援会活動」「私人としてのプライベートな活動」以外は交付対象となった。これまで認められなかった国会議員への陳情活動の交通費や宿泊費なども対象となった。使用できる範囲が広がり、ますます議員報酬の上乗せ的性格が強まった。

 「もらえるものはもらわなければ損」。これが不正議員の意識だと思う。満額を受け取るために領収書の偽造などの不正取得が横行する。

 領収書をつけてインターネット公開するなど様々な改善案が出されている。現状よりは不正申請がしにくくなるが、根本的解決にはならない。政務活動費は廃止しかない。

 議員報酬は、生活費の側面もあるが、あくまで議員活動への報酬である。議員報酬で足りなければ、その引き上げを市民に提案するのが筋。政務活動費は税金の無駄遣いだ。

 私は、最初の選挙から政務調査費は廃止すべきだと訴え続け、初当選以来5年半、1円の政務調査費・政務活動費も受け取っていない。それでも議員活動はできる。政務活動費は多い自治体で月50万円もあるが、ゼロの自治体もある。枚方市は月7万円、年間84万円。最近、大阪府泉南市議会が政務活動費を廃止した。やればできる。

 枚方の市民が政務活動費の調査活動に着手した。これは議員への大きな圧力となる。議員の間だけでは政務活動費廃止はハードルが高いが、市民の声が大きくなれば廃止できると考えている。3月議会に向け市民活動を背景に廃止への取り組みを進める。
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