2016年11月18日発行 1453号

【世界自然保護会議報告会/ジュゴン保護キャンペンセンター/勧告・決議使い土砂搬入阻止へ】

 ジュゴン保護キャンペンセンター(SDCC)が、9月にハワイで開催された国際自然保護連合(IUCN)の第6回世界自然保護会議の参加報告会を11月4日、大阪市内で開いた。IUCNの勧告・決議を活用する今後の方針を議論した。

 世界自然保護会議は4年に1度開催される。SDCCは結成前の第2回(2000年)以降毎回参加し、基地建設による環境破壊を訴え、「ヤンバルクイナ・ノグチゲラ・ジュゴンの保全」勧告を採択させてきた。特に今回採択された「島嶼(とうしょ)生態系への外来種の侵入経路管理の強化」決議は、埋立土砂の搬入を防ぐ有効な手段となる。

 辺野古基地建設に必要な土砂量は約2千万m3。その8割にあたる量の岩ズリを県外から調達する計画だ。報告会を後援した「辺野古土砂搬出反対全国連絡協議会」(以下、全国連絡協)から向井宏さん(北海道大学名誉教授)が参加。取り組みを報告した。

 15年5月結成された全国連絡協は、「どの故郷にも戦争に使う土砂は一粒もない」を合言葉に、8県10か所の採石場での運動がつながった。各地域で連絡協が結成されるなど、基地問題が地道に続けられてきた各地域の運動を活性化させたという。「辺野古とつながって闘っていく」と決意を語った。

 事務局長の蜷川義章さんはIUCN勧告・決議を活用する今後の方針を提起した。

 まず、やんばる国立公園と米軍北部訓練場の返還予定地を含む世界自然遺産登録に対する取り組みだ。政府がめざす18年登録のためには、来年2月申請、夏現地調査が必要となる。現地調査はIUCNが行うことになる。だが、ヘリパッド建設地はノグチゲラの営巣地であることを防衛局も認めている。オスプレイ被害を含め、IUCN勧告に反する行為だ。世界自然遺産登録のために「日米両政府はIUCN勧告を履行せよ」との声を上げていく。辺野古だけでなく、高江の基地建設を許さない闘いとなる。

 2つめは沖縄県議会での決議だ。翁長雄志知事を支えるためにも議会から「日米両政府はIUCN決議を履行せよ」の後押しが必要だ。沖縄県は埋立土砂による外来生物侵入防止条例を制定しているが、許可制・罰則規定などへの改正が課題に挙がっている。議会への働き掛けは不可欠だ。

 3つめは、IUCN決議履行の国際署名。すでにSDCCはIUCNの会場で82か国1513筆の署名を集めた。国際的な世論をつくりだす広がりが期待される。

 そして、政府交渉。仲井真前知事が埋め立てを承認した際、「特に、外来生物の侵入防止対策、…の実施について万全を期すこと」と留意事項がある。IUCN決議を踏まえ、防衛省を追及していくポイントだ。交渉は11月25日に予定されている。

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