2016年11月18日発行 1453号

【公式の謝罪と賠償を すべての国のすべての被害者に アジアの元「慰安婦」が訴え】

 被害者の意思を無視し、また韓国以外の被害者を置き去りにした昨年末の日韓政府間「合意」に抗議してアジアの「慰安婦」被害者が来日。11月2日大阪、5日東京の集会で思いを語り、7日には外務省に「すべての国のすべての被害者が受け入れられる解決案を示せ」と申し入れた。

 来日したのは、インドネシア南スラウェシのチンダさん(84)、東ティモールのイネスさん(81)、フィリピンのエステリータさん(85)、韓国の李容洙(イヨンス)さん(87)の4人。チンダさんとイネスさんは初めての来日だ。

 「正義と真実を求めてやって来た」と言うチンダさん。14歳のとき日本兵に強姦され、戦後も周囲から「日本軍の残りかす」と蔑(さげす)まれた体験を証言した。イネスさんも「日本に来たのは飛行機に乗りたいためでも観光のためでもない。日本政府に正式に謝ってもらいたい。補償してもらいたい」と話し、「『慰安所』で出産した子を日本軍に取り上げられた。その子がどうなったか、日本政府は責任をもって教えてほしい」と求めた。

 「被害国は11か国に上る。すべての国の被害者に対し戦争犯罪の責任をとるべきだ。日韓『合意』は破棄せよ」と語気を強めるのは、エステリータさん。日本政府への要求として(1)手紙ではなく国会による正式な謝罪(2)歴史教科書に「慰安婦」問題を記述し次の世代に伝える(3)補償の支払い−の3つを挙げた。

 李容洙さんは「歴史の証人、李容洙です」と切り出した。「公式謝罪と法的賠償。この要求は千年たっても万年たっても変わらない。『合意』は本人としなければならないのに、本人である私は何も知らされていない。10億円は日本に返し、『和解・癒し財団』は中断すべきだ」と述べ、「私たちは平和の少女像を韓国中に建てる。アメリカにも建て、最後は東京のど真ん中に建てる。私は平和を願う女性人権運動家として世界中を飛び回る。必ず日本から謝罪と賠償をかちとる」と力強く決意を表明。会場から大きな拍手が寄せられた。

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