2016年11月25日発行 1454号

【いのちと避難生活をまもる第6回京都公聴会/住宅提供継続へ前進切り開く】

 福島第一原発事故の区域外避難者への住宅無償提供が来年3月で打ち切られようとする中、避難者の声を聞く民間公聴会が11月13日京都市で開かれ、複雑な心境が語られる一方で切実な要求の前進が明らかになった。

 うつくしま☆ふくしまin京都―避難者と支援者のネットワーク―が主催した「いのちと避難生活をまもる第6回京都公聴会」には、福島からの避難者と支援者をはじめ京都市民が参加した。

 宇野燻qさん(全国避難者の会共同代表)は、国の責任を明らかにし住宅供与打ち切りの再考を求めて政府・福島県と交渉したことを報告。

 ネットワーク代表の奥森祥陽さんから、10月24日に行われた京都市との交渉で、見なし仮設住宅(無償提供)が打ち切られた後の対応について、「避難者が路頭に迷うことにならないように、できるだけ希望に沿えるように対応していく」との市の基本姿勢が示され、一定の前進が勝ち取られたことが報告された。

 いわき市から避難してきた高木久美子さんは「今まで積み重ねてきた交渉が力となって行政を動かすことができると実感した」と述べ、支援活動への感謝の気持ちを表明。三春町から母子で避難した水田爽子さんは「福島に帰りたい気持ちが強いが、子どもの健康を考えると京都にいたい」と複雑な気持ちを述べ、成長期の子どもにとって放射能の影響が大きいことを訴えた。南相馬市から避難した福島敦子さんは「避難者の住宅問題を人権の問題として捉えることが大切だ。京都では早くから取り組んできたことが継続入居への道を開いたと思う」と指摘した。

 連帯あいさつで宇治市議の水谷修さん(共産党)は、請願が通ったことに触れ「事実ほど力になるものはない」と避難者の声が大きな力になっていることを明らかにした。

 集会では、みなし仮設住宅打ち切りの法的問題点について、弁護士の井戸謙一さんが講演。災害救助法において、救助の主体は都道府県知事だが、救助の責任は国にある。しかし、原発事故のように被災が長期化した災害に対応した法律でない。今後、入居している住宅の種類ごとに、明け渡し請求があった場合や入居者側から供与延長を求めて訴えを起こす場合の法律問題について解説した。

 最後に奥森代表が、まだ住宅問題での態度を表明していない京都府に対して、継続入居方針を打ち出すよう求めていく決意を表明した。

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 避難者が原告となった原発賠償京都訴訟弁論の日程は、第19回12月7日(水)京都地裁10時30分開廷、第20回原告証人尋問12月14日(水)同10時15分開廷。また、裁判のヤマ場を迎え、原告・支援者らは公正判決要請署名(http://shienkyoto.exblog.jp/ から)を呼びかけている。

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