2016年11月25日発行 1454号

【区域外避難者への住宅提供延長を 当事者4団体が政府交渉】

 ひだんれん(原発事故被害者団体連絡会)など避難当事者4団体は11月8日、参院議員会館で区域外避難者への住宅無償提供延長を求め、政府(復興庁・内閣府・環境省など)と福島県に要請した。

 発言はすべて避難者自身が行い、当事者性を前面に出した要請行動となった。

 要請では、災害救助法に替わる施策として打ち出された福島県の支援策や、公営住宅の確保策として提示された都道府県の優先入居方針が、収入要件や世帯要件の壁により対象外とされる避難者が多くいる問題点が浮き彫りにされた。

 東京に避難中の熊本美彌子さんは「東京都は300戸の優先入居枠を設定したが、まだ200少々しか埋まっていない一方で、世帯要件が壁になって申し込みすらできない世帯が多くある。一人も路頭に迷わせないと言ったが実態は違う」。川崎市に避難している松本徳子さんは「神奈川県は70戸の公営住宅を確保したというが、不便でお風呂場もない物件のため応募数はわずか。今いるところに住み続けたいとの要望から遠くかけ離れている」。「支援策で対応するはず」という国の認識のズレを追及した。

 打ち切りの再考を求められた福島県は「(区域外避難者への災害救助法適用をやめ、支援策に切り換える)方針は変えない」と言明。「避難の権利」を求める全国避難者の会共同代表の中手聖一さんは「大多数が帰らない、帰れない状況にある事実、支援策は穴だらけである事実は県も否定できないだろう。帰還する人、避難先にとどまる人、それぞれの道を支援するというなら事実をふまえて話を進めよう」と矛盾を突いた。福島県は「1月以降も戸別訪問を続け、具体的に個別に支援していく」と返答するにとどまった。

 「『除染とインフラ整備が進み、支援策で対応する』と県が表明したので同意した」という内閣府に対して中手さんは「現状がこうなのだから、同意した国は決定的なミスを犯したのではないか」と詰め寄った。

 打ち切りの再考・支援策の抜本的見直しを求める声に、国も県も「皆さんの意見を上司に伝える」と繰り返すだけ。再考結果について文書回答を求めた。

ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS