2016年12月09日発行 1456号

【みるよむ(421) 2016年11月26日配信 イラク平和テレビ局in Japan イラクの女性にとって真の平等とは】

 イラクでは、IS(「イスラム国」)もアバディ政権もイスラム主義による支配を強め、女性の権利を抑圧しようとしている。これに対して2016年10月、サナテレビはイラク市民が女性の権利や社会的地位についてどう考えているかをインタビューした。

 インタビュアーはまず、イラク女性は長年の闘いの中で権利と社会的地位を獲得してきたにもかかわらず、イスラム教聖職者や部族の支配が強まる中で、抑圧が強められていることを指摘する。この問題に様々な立場の意見が紹介される。

 最初の労働者は、イラクの独立以来、女性が大臣、弁護士、医師、教師などを含め社会の多くの分野に進出し、権利を獲得してきたことを強調する。市民活動家は、女性が労働でも教育でも、社会に大きな貢献をしているにもかかわらず、男性優位の社会構造が続いていることを非難する。

 もちろん、イラク女性は困難な現状を嘆いているだけではない。ある女性は、政府による国内産業破壊や緊縮政策で就職が困難にさせられている中で、インターネットを活用しながら手作りの品物を作る小規模事業の仕事につくことができた。主体的に自らの生きる道を切り開いている。

 別の市民活動家は、女性と男性が同じように台所で働くことだけで女性が自由になるという考えは間違いと断言する。「平等とは、女性が働き、責任ある地位につき、指導者となり、女性の声に社会が耳を傾けること」と主張する。

 ISが女性を奴隷として売り飛ばす一方、アバディ政権は大学でも男女の別学を進めるなど、抑圧は強まっている。しかし、厳しい状況の中でも女性たちは社会に進出して社会を変えていくことで真の男女平等を勝ち取ろうとしている。

 イラクだけの問題ではない。次期米国大統領のトランプは民族差別や女性蔑視・差別の発言を繰り返してきた。日本では、自民党が改憲草案で両性の本質的平等と個人の尊厳をうたう憲法24条の改悪を狙っている。グローバル資本の支配は、その根本の発想ではイラクでも米国、日本でも同じといえる。

 差別と人権侵害、戦争を進めるグローバル資本の支配に対し、世界の連帯した闘いの必要性を浮かび上がらせる映像だ。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)



ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS