2016年12月16日発行 1457号

【植民地歴史博物館」の建設を 植民地主義の清算、東アジアの平和へ 寄稿 「植民地歴史博物館」と日本をつなぐ会事務局長 矢野秀喜】

 1987年6月、韓国では民衆抗争によって軍事独裁が倒れ、民主化がなしとげられました。90年代に入り冷戦体制も終焉(しゅうえん)。独裁の下で抑圧され、声を上げることさえできなかった多くの植民地支配・戦争の被害者たちが一斉に立ち上がりました。金学順さん(キムハクスン)、金順吉さん(キムスンギル)、金景錫(キムギョンソク)さん…。その勇気に力を得て、さらに多くの人びとが戦後補償を求めて闘いに加わりました。

 私たちは訴えを聞き、日本の侵略戦争、植民地支配の実態を知ることができました。「歴史」として知っていたことを、生身の人間、被害者から改めて聞き、酷さ、非道さを知ることも多々ありました。そして、元日本軍「慰安婦」、元徴用工、元軍人・軍属、遺族が起こした訴訟を支援し、ともに闘ってきました。

 他方、日本政府はその訴えを日韓請求権協定(65年)をたてにことごとく「解決済」とはねつけ、企業も政府に同調し、裁判所もすべて請求を棄却。日本で韓国人が起こした戦後補償裁判はすべて原告敗訴で終わりました。

 しかし、闘いは無駄ではありませんでした。韓国では、強制動員の真相究明が進み(2004年)、日韓会談文書が全面公開され(05年)、強制動員被害者支援法も制定(07年)されました。

 ただ、被害者の要求は実現しておらず、権利は回復していません。元「慰安婦」、元徴用工らは今なお闘いを続けています。植民地主義は清算されないままです。一方、その生き証人、直接の被害者たちは高齢化し、次々と鬼籍に入っていかれます。一日も早く戦後補償を実現しなければなりません。同時に、植民地支配とは何であったか、その実態をきちんと後世に残し、伝えていく取り組みもいっそう重要になっています。

 今、韓国で民族問題研究所を中心に「植民地歴史博物館」を建設する運動が進んでいます。民族問題研究所は、「親日派」の研究、強制動員被害者の補償訴訟支援など、植民地主義の克服のために活動してきました。植民地支配に関わる様々な資料の収集・保存、調査・研究、市民交流も取り組んできました。その25年近い蓄積を踏まえ、「植民地歴史博物館」を建設しようとしています。同博物館は、植民地支配や戦後補償運動などに関わる資料を集め、展示・教育を行い、研究活動、国際交流を進めます。それを通じて、人権の確立、東アジアの平和実現をめざします。

 日韓市民の友好・連帯の場として「植民地歴史博物館」をともにつくっていきましょう。建設基金に資金(賛同金)をお寄せください。日韓の近現代史‐植民地支配に関わる資料や過去清算運動に関する資料(戦後補償裁判資料など)をご提供ください。

 植民地歴史博物館建設を日本から支えていきましょう。

◆郵便振替口座 植民地歴史館つなぐ会:00130-0-634639
URL:http://rekishimusem.jimdo.com

ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS