2016年12月16日発行 1457号

【私は戦争を心から憎む 長崎被爆者らが意見陳述 安保法制違憲訴訟(国家賠償)第2回口頭弁論 東京地裁】

 安保法制違憲訴訟(国家賠償請求)の第2回口頭弁論が12月2日、東京地裁であり、原告3人が意見陳述した。

 元船員の本望(ほんもう)隆司さんは「イラン・イラク戦争(80〜88年)の際、ペルシャ湾内を航行する各国の船が攻撃を受けたが、日本船は被弾ゼロ。日本はいずれの国にも武力で加担しない平和国家と国際的に認知されていたからだ」と指摘。

 9歳のとき長崎で被爆した牟田満子さんは「皮膚がめくれ、服と一緒にぴらぴらさせながら逃げてくる人の列が今も脳裏にこびりついている。被爆者は差別され、被害の救済を願いながらも大きな声では言えなかった。私は戦争を心から憎んでいる。絶対にあの悲劇は繰り返してほしくない。それをどうしても訴えたくて本日長崎から来た」。

 牧師の安海(あつみ)和宣(かずのぶ)さんは「剣を取る者はみな剣で滅びる」というキリストの言葉を引きながら、「日米両国が一体となって軍事活動をすると世界から見られれば、宣教と宣教師の命は格段に危険にさらされる」と述べ、被害は国が言う「漠然たる不安」の域を超えていると強調した。

 裁判長は被告側に対し、原告側主張への認否・反論を次回までに行うよう指示。違憲性をめぐる議論に入ることなく門前払いさせようという被告・国のもくろみは、不発に終わった。だが、同じ東京地裁に8月、「安保法制違憲訴訟・女の会」の106人が起こした訴訟の進行協議では裁判官が「結婚披露宴で長々とあいさつを聞くのは苦痛」と原告意見陳述の圧縮を図っている。早期結審を許さず、司法に対する監視・傍聴態勢を強化しなければならない。

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