2016年12月23日発行 1458号

【沖縄・高江ヘリパッド阻止へ 強権と分断許さない運動 まやかしの「返還式典」ノー】

国追認の仮処分却下に怒り

 9月21日に東村高江区民ら31人によるヘリパッド工事差し止めを求める仮処分申請に対し、那覇地裁は12月6日、オスプレイによる騒音や低周波の被害を切り捨て、申し立てを却下する不当決定を行った。

 今年6月段階で高江での騒音発生回数は、オスプレイ運用前の2014年度月平均の24倍に上る。安眠を奪われ、子どもが学校を休まざるをえない、振動で気分が悪くなり食事ができないなど、現段階ですでに被害が続出している。にもかかわらず裁判所は、司法の責任を果たすどころか住民の健康被害、平穏な日常を営む人格権の侵害など工事差し止めの「緊急性・重大性」を無視した。12月22日の北部訓練場一部返還の「返還式典」実施に向け、政府の主張だけを聞き入れた結論ありきの決定になっており、涙が出るほど悔しい。

 不当決定に原告の伊佐育子さんは「県民はオスプレイの下で暮らせという判断だ」と憤る。「工事は進んでいるが、集会が開かれている日にダンプは入れない。裁判所の判断を不服に思う人は、一緒に止めていただきたい」と共に行動することを呼びかけた。

 同日、高江の「ヘリパットいらない」住民の会と弁護団は、地裁決定に抗議する声明で「今後も正当な表現活動として高江オスプレイパッド建設に対し、抗議を続けていく」とし、福岡高裁那覇支部に即時抗告する方針を出した。

形だけの工事「完了」

 高江差し止め仮処分裁判の進行や市民の連日の抗議、県の様々な指示等も顧みることなく、ヘリパッドの工事は環境も安全も労働基準法も無視して続けられている。

 たばこを吸いながらの作業、建設機械を吊り上げる際に強度が足りない「トラロープ」を使うなど、違法行為や施工ミスも次々に指摘されている。市民の指摘を受けて、名護労働基準監督署などによる現場の防衛局職員や工事作業員からの聞き取りが行われたが、防衛局側はその場しのぎの対応だ。さらに連日、ダンプ120台分もの砂利が搬入され、民間ヘリまで14回も使っている。すべては返還式典までに形だけでも「完了」ととりつくろうためだ。

 だが、22日の式典前には当初予定通りに完成しないことが明らかだ。平和市民連絡会の北上田毅さんは一斉行動の際、「12月16日にも完成と報道がされているが、形だけの見せかけだ。実際は雨の日も続き、無理な工事で芝生を張り替えるなど進んでいない。あきらめずに座り込みを続け、オスプレイパッドの建設を止めよう」とアピールした。

屈せず闘い続ける県民

 安倍政権の強権的な工事と弾圧、翁長雄志(おながたけし)県知事をはじめとするオール沖縄に対する分断攻撃は激しさを増しているが、それに沖縄県民が屈することはない。

 12月8日のN1ゲート前の集会では、返還式典に工事完了が間に合わないことを確認し、「かじゃで風(ふう)」(祝宴の座開きとして踊られる舞踊)を上間芳子さんらが踊り、闘いの意思を固めた。同日夕刻には、沖縄平和運動センター山城博治議長らの不当逮捕・長期勾留に抗議する「安倍政権による不当な市民弾圧を許さない緊急県民集会」(基地の県内移設に反対する県民会議主催)が那覇市の県民広場で開かれ、500人超が参加。国際通りのデモで「不当で見せしめの逮捕だ」「弾圧に絶対まけない」と、国策のためなら何でもする安倍政権に対し「民意は揺らぐことはない」と団結を訴えた。

 東京、大阪など全国で辺野古・高江連帯行動が行われた10日、高江集中行動・集会には約700人が参加。高江一斉行動始まって以来の結集となり、N1ゲートからのダンプ進入を許さなかった。どれほど弾圧と違法工事強行で諦めさせようとしても、県民は創意工夫をこらし、阻止闘争を続けている。

 12月22日、安倍政権は何が何でも返還式典を強行し、まやかしの「負担軽減の大合唱」を叫びたてるだろう。しかし、式典には翁長知事はじめ県庁職員は誰も出席しない。

 私たち県民は、6月県民大会で、軍隊によってだれの命も二度と奪わせないよう全基地撤去を誓った。その一つが北部訓練場の全面返還であり、ヘリパッド建設との引き換えなど絶対に認めないし、作らせない。今度こそ普天間基地を閉鎖・撤去させて私たちの手に取り戻し、静かで幸せな生活を実現する。それが全県民の願いだ。     (H)



ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS