2016年12月23日発行 1458号

【避難当事者が東京都と話し合い/住宅支援の継続、公的住宅確保を】

 区域外避難者の住宅無償提供打ち切りが4か月後に迫まる中、避難の協同センターが呼びかけて12月6日、東京都との話し合いが行われ(キビタキの会が共催)、9人の当事者が今の住まいの継続入居、都営住宅への入居を求めた。

 都内に避難している世帯は717世帯(うち都営住宅は246世帯)あるが、準備された都営住宅は半分以下の300戸。しかも応募して仮あっせんが決まったのは200戸を下回る。入居したくても世帯要件や収入要件に“該当しない”、対象物件が不便な場所・狭い間取りなど“条件が悪く応募しない”ためだ。ところが、東京都住宅整備局は「民間賃貸住宅の入居が困難な世帯向けに300戸の優先入居枠を用意したものだから(余りが出た)」との見解。民間住宅への移転を基本にし、公営住宅の確保は後回しにする施策の問題点が集中的に出た。

 そのため来年4月以降、今まで負担のなかった家賃が発生し、都営住宅でない限り一気に月10万円もの負担増となって家計を圧迫する。要件をきびしくして入居を制限した結果、該当しない世帯を貧困家庭に陥れることになる。

 避難当事者の声は、このままでは路頭に迷うと行政に突きつけるものだった。

 「家族4人で避難してきて都営住宅にいるが、『ひとり親世帯』という世帯要件に当てはまるのは娘と孫だけ。私と高校生の息子は都営を出て別々に生活しなければならないという。4人一緒に暮らしたいのだけれど。私と息子はいまだに住まいが決まっていない。通学の心配もあり、家族全員での継続入居をお願いしたい」

 「親子で避難してきた。当時中学生だった子どもは現在20歳。学生のため収入はない。20歳以上の者は子どもとみなされないため、世帯要件にあてはまらず、都営住宅を出ろと言われている。今後親子でどうすればいいのか」

 雇用促進住宅入居者は訴える。「避難当時、都営か雇用促進かなど住宅を選んで入ったわけではないのに、出るときには都営住宅優先入居枠の応募資格がない。希望すれば今の住まいに住み続けることができると言われたが、月10万円以上の家賃支払いなんてできない。都営に入るか、都営の相場と同様の家賃補助をしてもらいたい」

 避難者全員を公的住宅に入れることが、原発事故被害者に対する責任の取り方、実行すべき基本的な施策であるはずだ。一人も路頭に迷わせないため、受け入れ自治体はあらゆる手段を使って公的住宅の確保に全力を挙げなければならない。

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