2017年01月06日・13日発行 1460号

【大韓民国は民主共和国である 史上最大の市民の力で朴槿恵(パククネ)を弾劾 韓国市民運動家・李眞革(イ・ジンヒョク)】

 韓国市民の怒りと行動は、ついに朴槿恵(パククネ)大統領を弾劾に追い込んだ。事態を進歩勢力はどう見ているか。韓国の市民運動家・李眞革(イジンヒョク)さんから報告が寄せられた。

 朴槿恵大統領と崔順実(チェスンシル)による、いわゆる「朴槿恵―崔順実ゲート」が韓国社会を覆っている。

 9月20日、ハンギョレ新聞がミル財団とケイスポーツ(K-Sports)財団の設立や運営等に朴槿恵大統領の側近、崔順実が介入していたことを初めて報道した。朴槿恵大統領は3回にわたり対国民談話を発表したが、むしろその都度、ろうそく集会に参加する市民は増えていった。11月以降の毎週末、ソウルをはじめ全国の大都市でろうそく集会が続いた。海外でもキャンドルデモが行われていった。

232万人が街頭行動

 12月3日土曜日、「ろうそくの宣戦布告―朴槿恵、即刻退陣する日」の名称で第6次ろうそく集会が全国各地で開催された。主催した「朴槿恵政権退陣非常国民行動」の推定で232万人が参加しており、これは歴代最多の参加者数だ。いつも主催者より少なく推定する警察も、全国で43万人が集まったと発表した。どの基準で見ても韓国憲政史上、最も多くの市民が広場や通りに出て、「大統領直ちに退陣」を叫んだのだ。朴槿恵大統領が「進退問題を国会に任せる」と責任を国会へ押し付けた3回目の談話(11月29日)以降、与党と野党は大統領弾劾案議決をためらっていた。だが、集会の参加者たちは、大統領にはすぐに退陣≠、国会には遅滞のない弾劾案処理≠要求した。

 この日、集会に参加した希望連帯労働組合の組合員、パク・ジェボムさんは語る。

 「正規職の非正規職化が進み、反対する労働者の闘争には拘束、損害賠償、仮差し押さえなどの弾圧が続いています。法律に違反した会社側を管理、監督しなければならない政府はその役割を果たさず、労働者の生活は日々厳しくなっています。希望連帯労組の場合も、生きるために命をかけて漢江(ハンガン)大橋の上や広告塔上などに登って闘うしかありませんでした。誤りを正すために闘争していた、我々労働者の代表、民主労総のハン・サンギュン委員長が不当な理由で拘束されている状態です。こうした中で、お金と権力があれば大学に不正入学できる国になってしまいました。誤った国を私の子どもたちに受け継がせたくなくて、キャンドルを持って広場に出ました」

国会が弾劾案を可決

 歴史上最大の人びとが広場と道路で大統領退陣を叫んで数日も経たない12月9日、国会で朴槿恵大統領弾劾訴追案が出席299人中、賛成234、反対56、棄権1、無効7で可決された。とどまるところを知らない国民の怒り、毎週末に広場にくり出す市民の怒りが、政治的打算からためらっていた野党を動かし、与党議員さえも動かしたのだ。ろうそく集会の参加者たちは「国民は命じる、朴槿恵はすぐに退陣せよ」と一貫して叫び続け、最終的に、国民を代弁するべき国会議員が代議制民主主義の原則をしっかりと実行した瞬間だった。

 弾劾案可決の後に、国会で「朴槿恵政府の崔順実など民間人による国政壟断(ろうだん)(国政を利用した利益独占)疑惑事件の真相究明のための国政調査特別委員会」の公聴会が開かれ、さらに多くの疑惑が事実として明らかになった。ミル財団とケイスポーツ財団に数百億ウォンに上る資金を提供したサムスンなどの財閥は、出資の対価として「規制フリーゾーン法」「成果年俸制の導入」という労働権を抑圧する政策を獲得した。彼らは「朴槿恵―崔順実ゲート」の被害者ではなく、共犯者であることが明確になった。

 現在、弾劾訴追案を憲法裁判所が検討している。1987年民主化闘争の産物として設置された憲法裁判所だが、国民は9人の憲法裁判官を懸念を持った視線で見ている。それは9人の性向が保守的だからだ。また、左派政党、統合進歩党を強制解散させた判決(2014年12月)の際、憲法裁判所は青瓦台(チョンワデ)(大統領官邸)と共謀し、三権分立の根本を司法自らが破壊した事実を知っているからである。

国民の弾劾行動は進行形

 だからこそ、朴槿恵大統領弾劾案が国会で可決された後もなお、大規模なろうそく集会が継続されている。「大韓民国のすべての権力は、国民に由来する」とした憲法第1条第2項の文言を市民たちが明確に示している。朴槿恵大統領弾劾は、終わったのではなく、現在進行形である。

 大韓民国憲法第1条には次のように書かれている。「大韓民国は民主共和国である」

 選挙当日、投票するときだけに主権を行使するのではなく、日常生活の中で自分の要求を貫徹させている韓国国民は、この憲法第1条を実現する途上にある。あちこちの広場は民主主義の巨大な教室となり、まさにこの瞬間、韓国はいかなる国よりも民主主義の根本的な問いを提起している。そして今、民主共和政の所有者が市民であることを正確に示している。

 韓国の民主主義闘争が果たしてさらにどう展開していくのか。私たちは最後まで注視しなければならない。





ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS