2017年01月06日・13日発行 1460号

【安保法制は尊厳の否定/違憲訴訟(差し止め請求)第2回口頭弁論/被爆者・元原発技師が意見陳述】

 戦争法の違憲性をただし、同法に基づく自衛隊出動の差し止めを求めた安保法制違憲訴訟の第2回口頭弁論が12月21日、東京地裁であった。

 原告意見陳述に対し被告・国側は「訴訟法上の位置づけが不明」と異議を唱えたが、裁判長は却下。被団協(日本原水爆被害者団体協議会)事務局長の田中煕巳(てるみ)さん、元原発技師の小倉志郎さんの2人が陳述に立った。

 13歳のときに長崎で被爆した田中さんは「3日後に爆心地に入ると、亡くなった方が何千何百と散乱し、これは人間の世の出来事かと思った」「子どもや妊婦はABCC(原爆傷害調査委員会)に連れて行かれ、治療ではなく検査をされた。私たちはモルモットだった」「国内では根深い差別偏見があった」と振り返り、「力による紛争解決は核兵器に行き着く。70余年前の被爆の苦しみが解決されていないのに、再びその危険に踏み出す安保法制は、私自身の平和的な生存も、私たち被爆者の人格としての尊厳も顧みないものだ。皆殺しが目的の戦争に日本が加担してはならない」と批判した。

 「原発にかかわる仕事に携わった者の責任として、この国に健康で安全に暮らせる環境を残さなくてはいけない」と語る小倉さん。「安保法制は他国との間に憎しみを生み、原発への攻撃の危険性を招く。いま日本に住む私たちだけでなく、将来生まれてくる子どもたちが安全に、健康に暮らせなくなる。原発の実情を知る私は、ちょうど時限爆弾を抱えたような、激しい焦燥感に駆られている」と真情を吐露した。

国連総会が採択/平和への権利宣言

 参院議員会館で行われた報告集会で、原告代理人で安保法制違憲訴訟の会共同代表の寺井一弘弁護士は「昨日、京都で原告100人が提訴。安倍さんの地元、山口県でも今月26日に提訴する。2017年に入っても札幌・大分・群馬・宮崎・鹿児島・沖縄と続き、全国20か所以上の地裁で裁判が始まる」と明らかにした。

 今後、裁判所に学者意見書を提出する予定という飯島滋明・名古屋学院大学教授からは「12月9日、南スーダン自衛隊派遣に反対する憲法研究者の声明を発表した。賛同は50人も集まればと思っていたら、101人もの賛同があった。許せないという思いはそれほど強い。国連総会で2日前、平和への権利宣言が採択された。イラク戦争のような戦争を二度と起こしてはいけないとスペインの法律家団体が提案したものだ。海外でどんどん武力行使しようという日本政府の動きは国際社会の流れに大きく逆行している」と報告があった。

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