2017年01月06日・13日発行 1460号

【坂井美穂のじゃらんじゃらんinいんどねしあ/現地報告 流行りって 編 さすがクリエイティブ】

 みなさん、西スマトラよりこんにちは。月日が経つのは早いですね。あれよあれよという間に、こちらでの任期も終わり、いよいよ私も帰国です。この1年半、当たり前だと思っていたスマトラの田舎町での暮らしも、この歳になってじっくり暮らしてみると、改めていろんな発見があるものです。

 「Tongkat Narsis (ナルシスト棒)」。何だかお分かりでしょうか? インドネシアでは、基本的に文字はアルファベットを使うため(一部地方言語除く)、面白おかしく略語を作るか、これまた面白おかしくネーミングするか、それしか言葉遊びの方法はありません。日本発のPPAP(ペンパイナッポーアッポーペン)がこちらで爆発的にヒットしたのも、略語(これには意味がないのでしょうが)として親しみやすかったということもあると思います。

 話を戻すと、これ、自撮り棒のことなんです。インドネシアでも自撮り(selfie)は大人気。もうとにかく自撮りです。自撮りをする=ナルシストということのようです。自撮りをしてSNSに投稿するのが当たり前になっています。(国内facebookユーザーは、2016年時点で7900万人と言われています)

 また、日本に比べ、特にインドネシアの路上はうるさいほど賑やかです。四輪や二輪の走行音だけでなく、物売り、物乞い、流し(歌)、馬車、などなど。一歩路上に出れば、なんとも混沌とした感じが、アジアの街角という雰囲気を醸し出しています。一番賑やかなのは、乗り合い四輪などから音漏れする爆音量の歌謡曲と、誰に向けて発しているのかもはや分からないほど大量のクラクションです。

 ここ最近では「Om, telolet, om(おじさん、面白いクラクション鳴らして)」という、インドネシアのストリート発祥の遊び(乗り合い四輪などのクラクションが面白く鳴ったら喜んで騒ぐ)が流行っていますが、なんでも遊びにしてしまうところは、さすがクリエイティブだなあと感心してしまうのです。

 坂井美穂(アンダラス大学 人文学部招聘教員)

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