2017年01月20日 1461号

【一人も路頭に迷わせない 原発避難者が住宅裁判準備会を結成 居住の権利、避難の権利を求めて】

 区域外避難者の住宅無償提供打ち切りまで3か月を切る中、4月以降の行き先のめどが立たない避難者らが中心となり、「居住の権利」「避難の権利」を訴えて行政に住宅を保障させようと、提訴に向けた準備会を発足させた。

 1月6日参院議員会館で開かれた「原発避難者住宅裁判を準備する会」結成集会。主催者を代表して、田村市から都内に避難した熊本美彌子さんは「現行の法律体系では原子力災害で避難した人々の住まいの確保は困難。出された支援策も疑問だらけだ。避難者に事故の責任はないのに、なぜ窮状に追い込まれなければならないのか。提訴は立法化にもつながるもの」と会結成の意義を述べた。

 避難者は東京都が用意した300戸の優先入居枠から外された怒りをぶつける。「母子避難だが、5年たって子どもが20歳になったから入居資格がないとされ、戸別訪問で『居残るなら立ち退き訴訟を起こすぞ』と脅された」「5人家族で避難してきた。子どもと孫だけ入居資格があるが他は出なさい、と言われた。一緒に住みたいのにまた家族がバラバラにされる」

 福島みずほ参院議員は「世帯要件・収入要件が壁になって公営住宅に入れない避難者がいるのは問題。時間がないが、国会でも取り上げる」と激励した。

「住宅保障は権利だ」

 法廷闘争の決意を語ったのは大口昭彦弁護士。「何も悪いことをしていないのに、肩身の狭い思いをすることはない。居住の権利、避難の権利を堂々と訴えていく」。滋賀の井戸謙一弁護士からは「住宅の保障は国の被災者に対する恩恵などではなく、原発政策を推進してきた国に対する被災者の権利だ。私も協力させていただく」とのメッセージが寄せられた。

 神奈川・京都・山形の避難者、東京・千葉の支援者から連帯あいさつやメッセージが続く。

 主催者からは裁判への流れを説明。住宅の「一時使用許可申請書」を東京都(都営住宅)または福島県(国家公務員宿舎など)に提出し、却下された場合その取り消しを求めて3月中に提訴する。行政手続きをせずに4月以降も居住を続けると「不法占拠」とされ、不利になるためだ。

 会は住宅支援問題をめぐる最新情報を共有しながら、個々のケースと今後の対応を検討していく。会加入・相談は専用電話070(4388)2608まで。

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