2017年01月27日 1462号

【沖縄辺野古・高江阻止 海上作業再開強行に怒り 山城さんらを即時釈放しろ】

紺碧の海が分断された

 静けさを取り戻していた辺野古の海が年明け早々、再び衝突・緊迫の場と化した。

 12月の辺野古訴訟上告審国側勝訴を受け、沖縄防衛局は1月4日、昨年3月以降中断していた辺野古新基地建設工事の海上作業を再開した。これに対し、5日には年明け最初の抗議集会がキャンプ・シュワブゲート前で行われ、約400人が結集。新基地は絶対に造らせないとの決意を新たにした。

 キャンプ・シュワブ沿岸部には、海上作業に伴うオイルフェンス(汚濁防止膜)や臨時制限区域を示すフロート(浮具)、ブイ(浮標)などが次々と設置された。どれも海上工事への抗議を妨げるものだ。辺野古崎から沖合の長島まで、オレンジ色のフロートによって紺碧の海が分断される光景が蘇った。

 さらに今回は、浮き玉に金属製の板と支柱を取り付けた新たなフロートが出現。14日には海面に突き出した支柱の穴にロープを張る作業が確認されたことから、作業に抗議するカヌーや抗議船の進入阻止を狙った海上フェンス≠ニして用いられると見られる。ロープを切断した場合、器物損壊容疑で海上保安庁が立件する可能性もある。何が何でも抗議活動を阻止しようという政府の姑息なやり方に、現場で監視・抗議する市民からは怒りの声が上がる。

 海上では100人を超える圧倒的な数の海上保安官が再び市民弾圧にかかっている。1隻の抗議船に対し4隻の海保のゴムボートが取り囲む。定員オーバーと分かりながら抗議船に保安官が乗り込み規制する。中にはエンジンキーを止められた上に破損される事態も起こるなど暴力的だ。すさまじい限りの強権的「警備」は、高江での機動隊の暴挙を想起させる。

高江工事完了は8月?!

 東村高江のオスプレイパッド建設について、沖縄防衛局がG地区と宇嘉川河口を結ぶ歩行ルートの工事完了が8月頃になると周辺自治体や高江区に伝えていたことが判明した。それは、昨年末の北部訓練場返還式典での「工事完了」宣伝がやはりまやかしの演出だったことを示す。工事はいまだ終わっていない。

 1月13日には、久々に資機材が搬入される様子も確認された。監視行動とオスプレイを運用させない闘いが現地で引き続き展開されている。

 翁長雄志(おながたけし)沖縄県知事も年頭あいさつで「県の有するあらゆる手法を用いて、辺野古新基地阻止、普天間即時閉鎖、オスプレイの配備撤回という公約実現に向けて取り組んでいく」と決意を述べ、民意を背に県民とともに闘う構えを力強く表明した。

不当な長期勾留許さない

 辺野古・高江での抗議活動のリーダーである山城博治さん(沖縄平和運動センター議長)が10月17日高江で不当逮捕されてから約3か月が経過する。山城さんを含む3人は今も勾留されたままだ。

 山城さんは高江で有刺鉄線1本を切断した器物損壊容疑で10月17日、準現行犯逮捕された。その後、勾留の継続を狙って、傷害と公務執行妨害容疑で再逮捕、さらには威力業務妨害で再々逮捕された。

 威力業務妨害とは、昨年1月末のキャンプ・シュワブゲート前での抗議のブロック積みを指す。当時、警察官や機動隊の目の前で公然と行われても何の警告もなかったにもかかわらず、いきなり10か月前の行為を持ち出しての逮捕である。恣意的な運動つぶしでなく何であろうか。

 12月に追起訴されて以降も長期勾留は続き、いまなお家族の接見すら認められていない。あまりにも異常なこの長期勾留は、安倍政権による不当な政治弾圧に他ならない。

 何より懸念されるのが山城さんの健康状態。悪性リンパ腫を患った身だ。現在は白血球の数値が最低ラインぎりぎりまで下がり、今後も決して油断できない。

 今、この異常事態を容認できないと、様々な動きが県内外で広がりを見せている。

 12月28日、全国の刑事法研究者が「正当な理由のない拘禁」として「山城氏釈放を求める緊急声明」を発表し、1月9日には日本国際法律家協会が「沖縄/琉球の政治弾圧に抗議する声明」を出した。鎌田慧、落合恵子、佐高信各氏らが呼びかけ人となった「山城博治さんらを救え!」キャンペーンは、インターネット署名ととともに1月12日に院内集会を開いた。

 県内でも昨年末、前参院議員の山内徳信さんらが共同代表を務める「山城博治さんたちの早期釈放を求める会」が発足。緊急の署名活動が行われた。16日には抗議集会、翌17日には那覇地裁に約4万筆にのぼる署名を提出。即時釈放を要求する行動が続く。

 山城さんたちの不当勾留、辺野古・高江でのすさまじい市民弾圧は、安倍政権が狙う憲法改悪や共謀罪の先取りに他ならない。沖縄の闘いで勝利することが、改憲攻撃を止めることにつながる。 (A)





 
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