2017年01月27日 1462号

【2017年度安倍「戦争法」予算案/墜落オスプレイに391億円/侵略兵器調達に大盤振舞い】

 1月10日、沖縄県伊江村でオスプレイからのパラシュート降下訓練中、米陸軍所属の米兵が民間地の畑に落下した。またもやオスプレイがらみの事故だ。昨年12月13日、空中給油訓練中のオスプレイが名護市の海岸に墜落したばかりにもかかわらずである。

命よりオスプレイ配備

 米軍はこの墜落を「不時着」と発表し日本政府も追認。危険性を小さく見せようとした。そのうえ飛行停止と配備撤回を求める翁長(おなが)沖縄県知事の要請に対し、「多少の事故は免れない」(若宮防衛副大臣)と拒否。墜落からわずか6日後の12月19日、原因究明もなされないままの訓練再開を安倍政権は「理解できる」と了承した。県民の生命、安全よりも日米軍事同盟を優先したのだ。

 事故から3週間後の1月6日、米軍は空中給油訓練も再開した。日本政府も了解済みだ。米軍は、墜落の原因は夜間の空中給油訓練の際にローター(プロペラ)と給油ホースが接触したためとし、墜落の詳細も示さず、根拠もなく機体そのもの欠陥ではないことを強調した。垂直離着陸機能を持つオスプレイはローターが極端に大きい。空中給油機から垂れ下がったホースを巻き込むのは当然の成り行きで、空中給油は構造上無理がある。起こるべくして起こった事故だ。

 欠陥オスプレイの危険性を認めず事故を過小に描くのは、米軍の意向に応えただけではない。安倍自身がオスプレイを必要としているからだ。

 安倍政権は2017年度予算案でオスプレイ4機の新規調達に391億円、関連経費341億円を計上。のべ調達数は13機に上る。オスプレイは、垂直離着陸機として、米海兵隊や自衛隊中央即応集団などの殴り込み部隊を前線に運び、海外派兵に威力を発揮する。イラク占領下では2500回以上稼働した。政府は中央即応集団のヘリ部隊がある千葉県・木更津駐屯地や佐賀空港への配備を計画する。だから、オスプレイは何があっても「安全だ」と決め付け、「多少の事故」は当然と許容するのだ。

過去最高の連続5兆円超

 2017年度軍事予算は、戦争法による海外派兵のための兵器調達で膨れ上がっている。第2次安倍政権の成立以降5年連続増で、過去最高更新の5兆1251億円。2年連続5兆円超となった。

 侵略兵器の筆頭であるF―35A戦闘機は6機調達予定で1189億円を計上する。F―35Aはレーダーに映りにくいステルス戦闘機であり、自衛隊・米軍で情報共有するデータリンク機能を持つ。ステルス性能は「自国防空」ではなく敵地侵入でこそ生かされ、データリンクは同盟軍との共同作戦遂行能力を高める。集団的自衛権行使容認の戦争法の下で、侵略性は一層高まる。三菱重工が組み立て、その設備に国費を投入。軍需産業の保護・育成にも一役買っている。

 大型輸送機C―2は3機で553億円、航空機輸送に適した16式機動戦闘車33両を223億円で調達する。陸自の海外展開能力を強化する。

 他にも海上自衛隊最大の潜水艦建造(728億円)、滞空型無人機グローバルホーク1機(187億円・関連経費含む)など、軍事費は完全に「聖域」となっている。

隠れ軍事費・海上保安庁

 見過ごしてならないのは、海上保安庁予算だ。こちらも過去最高の2100億円を計上した。海保の概算要求額2005億円に閣議で100億円近くも積み増した。各省庁の概算要求額は削られるのが通例で、積み増すのは異例中の異例だ。

 16年度補正予算を含め、大型巡視船を5隻新造する。現在海保が保有する大型巡視船は、「巡視船」としては世界最大級。ヘリコプター1〜2機を搭載。陸自が高射砲として装備する35ミリ連装速射砲、20_ガトリング砲、40_単装機関砲を各2基備える。自衛隊の小型護衛艦(駆逐艦)に匹敵する大型戦闘艦だ。安倍は大型巡視艇2隻をフィリピン沿岸警備隊に供与する。中国敵視を強め、対中国包囲網を強化するものだ。「尖閣防衛」をはじめ日本近海は海保中心、海外派兵は自衛隊―ともに大軍拡だ。

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 沖縄への新基地強要、反対運動弾圧に見られるように安倍は戦争政策遂行のためにはなりふり構わない。その姿勢は、予算案での際限のない軍事費増と社会保障切り捨て・国民生活破壊として徹底されている。安倍の戦争と貧困の新自由主義政策にストップをかけなければならない。



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