2017年01月27日 1462号

【日印原子力協定国会承認阻止へ/戦後日本外交の大転換°魔キな/コアネット総会で福永さんが講演】

 「戦略ODAと原発輸出に反対する市民アクション」(コアネット)は1月9日総会を開き、昨年、日印両首相が署名した原子力協定の国会承認阻止の活動方針を決めた。総会では、顧問の福永正明さん(岐阜女子大学南アジア研究センター長補佐)が、「日印原子力協定の問題点〜原発輸出と核兵器増産〜」と題し、講演を行った。

 福永さんは協定条文を検討し、次の問題点をあげた。

 (1)インドに対し核拡散防止条約(NPT)への加盟を要求していない(2)日本が提供する技術・資機材の軍事利用を禁止しながら、「核実験を行ったら協力を停止する」(安倍首相答弁)という語句がない(3)核兵器開発につながる使用済み核燃料の再処理と濃縮について、その都度同意を求めてきた従来の方針を転換し、「包括的事前同意」(事前に完全同意)してしまった(4)核爆弾の運搬手段であるミサイル開発・実験や臨界前実験について歯止めをかける取り決めがなく、過去に核実験の経験があるインドは臨界前実験で、核開発が実質的に可能となる。

 また、こうした条文そのものがもつ問題とともに、「最重要問題は戦後日本の外交方針の『大転換』となることだ」と指摘した。

 安倍政権は「核兵器先制使用禁止」に背を向け、広島・長崎市長からの協定交渉中止要請など核廃絶への声を無視した。外務省の「軍縮派」を協定交渉から外し、核拡散の危険防止より経済を優先する姿勢を鮮明にした。原発と核兵器の増産を認める立場を明確にしたのだ。

 だが、協定が効力を持つには国会での承認が必要だ。国会では、超党派78議員が参加する「原発ゼロの会」が問題点の追及を始めている。1月20日召集され6月半ばまでの通常国会会期中に強行されないよう、先手を取る闘いが求められている。

 コアネットでは、昨年に引き続き、核廃絶や反原発の市民団体との共闘をさらに広げる「キャンペーン2017」を呼びかけることを決めた。国際的な署名を準備し、議員やメディアへの働きかけを強める方針だ。特に、「原発への公的資金拠出」を分析し、抗議行動に取り組むことも決めた。

 アジアでは、ベトナムや台湾で脱原発へ方針転換がはかられ、トルコでは政権自体不安定な状況になっている。インドへの売り込みを焦っている国際原子力業界は仏アルバ社も東芝もボロボロだ。

 福永さんは「原発を売って儲けるのは反社会的、非倫理的行為である。福島の避難者、広島・長崎の被爆者、反原発を闘う人びとと連帯して、再稼働と原発輸出は同じなんだと訴えていこう」とむすんだ。

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