2017年02月10日 1464号

【辺野古・高江阻止へ 強まる弾圧と「オール沖縄」攻撃 沖縄連帯ではね返そう】

安倍、新基地強行明言

 安倍首相は1月20日、施政方針演説で名護市辺野古の新基地建設について「普天間飛行場の全面返還を何としても成し遂げる。最高裁の判決に従い名護市辺野古沖への工事を進める」と明言した。さらに「20年越しで(米軍北部訓練場過半返還を)実現した。沖縄県内の米軍施設の約2割、本土復帰後、最大の返還である」と自画自賛した。現実は基地負担軽減などでは全くなく米軍再編強化であるにもかかわらず、である。

 そして、過去の演説では口にしていた「沖縄の皆さんとの対話」「理解を得る努力」といった言葉が消えた。辺野古訴訟の最高裁判決を手にしたことで、もはや沖縄へのリップサービスなど必要なしと言わんばかりだ。

危険広げる海保と防衛局

 沖縄防衛局は1月6日、フロート浮き具の再設置を7か月ぶりに強行開始した。

 フロートは、プラスチックのオレンジ色浮き球で鉄棒が飛び出している。これまでよりも一回り大きいボールに取り付けられた鉄棒にはロープを通す穴があり、フロートに沿ってロープが張り巡らされている。明らかにカヌーや抗議船がフロートの上を突破するのを妨げるためだ。工事休止期間中に沖縄防衛局と海上保安庁が話し合って業者に特別に作らせたしろものだ。

 1月24日には、新型のオレンジ色海上フェンスがほぼ制限区域沿いに漂う状態になった。ところが、浮き球に取り付けられたロープは、大浦湾の荒い波によってわずか2週間で切れかかっていることがわかった。フロートに鉄棒を接合してロープを張る想定などなかったはずだ。切れたロープや鉄棒の付いた浮き球が海上を漂い周辺を航行する船のスクリューに絡まれば大事故につながる。

 海上保安庁と名のりながら、どこが海の保安、安全か。現場で物事を考えない沖縄防衛局と海上保安庁の机上の空論=Aデタラメさに沖縄平和市民連絡会の上間芳子さんは「あきれた」と語る。

 フロートが大浦湾包囲を完了する個所となった瀬嵩(せだけ)の浜にはその24日、キャンプ・シュワブゲート前で座り込みを続ける市民らが駆けつけ、抗議の声を上げた。

 カヌー隊や抗議船も、連日のように寒い海で作業中止を求め新基地建設に抗議している。だが、その船やカヌーは、圧倒的な数の海上保安庁ゴムボートでフロートまで近づくこともできない。

 昨年夏以降の高江と同様に、辺野古の海上でも工事中断前と違った対応が表れている。制限区域の外であろうと海上保安庁が近づき、抗議船の定員も無視し保安官4〜5人が乗り込んでくるようになった。抗議船のエンジンキーを抜き取り破壊することまであった。

 それでもカヌー隊と抗議船は海に出るが、海上保安庁は一人ひとり名前を呼び、「近づいたらだめ」と話しかけてくる。あなたの顔や名前は割れているよ=\いつでも逮捕の構えという脅しだ。

 高江・辺野古での警察や海上保安庁の姿をみると、この国は戦前の治安維持法下の警察国家になってしまったように思われる。今国会で狙われる共謀罪は、沖縄で行われている権力の弾圧を全国どこでも実行可能にするものだ。

分断許さず団結を

 1月28日の旧正月を前に、沖縄には重く鬱陶(うっとう)しい空気が満ちている。

 翁長雄志(おながたけし)沖縄県知事とともに保革を超えた組織づくりに奮闘してきた安慶田(あげだ)光男副知事が1月24日、教員採用試験と県教育庁人事への介入疑惑の責任を取り辞任した。副知事は辺野古新基地阻止に向けた政府との交渉を担い「オール沖縄」の原動力の一人だった。22日宮古島市長選では、「オール沖縄」内部が分裂し革新側が二分したため、僅差で自衛隊配備容認の現職市長3選を許してしまった。権力側が巧妙に介入し、辺野古阻止で結束する「オール沖縄」の翁長知事側のウィークポイントを狙い撃ちしているかのような憶測さえ浮かぶ。

 沖縄では、まもなく浦添市長選、うるま市長選と続く。来年1月には名護市長選、9月名護市議選、11月知事選・那覇市長選が予定される。

 安倍政権は今後も、翁長知事の「オール沖縄」体制を崩壊させようとありとあらゆる策動を仕掛けてくることは間違いない。「オール沖縄」はもう一度原点である辺野古新基地建設阻止の一点で翁長知事の下に結集し、大同団結することが求められる。

 1月31日から翁長知事は米トランプ新政権に対して辺野古阻止を訴えに再び訪米する。これを機に改めて翁長県政を支える沖縄県民の闘いへの連帯をいっそう強めよう。

    (1月26日・N)



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