2017年02月10日 1464号

【みるよむ(427)2017年1月28日配信 イラク平和テレビ局in Japan イラク市民は 政府の経済政策に怒る】

 イラク政府が開催したバグダッド国際見本市(博覧会)は、経済復興の役に立たないばかりか市民生活を破壊するものだった。2016年11月、サナテレビはバグダッドでインタビューし、政府のやり口に対する市民の怒りを伝えた。

 まず、インタビュアーのサジャド・サリームさんが暴露する。「イラクの経済再建のために博覧会で誘致する企業の大部分がねつ造された会社だ」。実態のない企業のために多額の国費が浪費されているのだ。

 市民活動家は「イラク政府は緊縮政策の名で賃金の遅配や福祉・教育の切り捨てを市民に押しつけている。にもかかわらず、国家資金を国内産業ではなく輸入や博覧会に回し、特定の商品を売り出すのに利用している」と指摘。「政府当局は暴力と差別、見かけ倒しの宣伝をするだけだ」と痛烈に批判する。

 メディア関係者は、博覧会のためとしてバグダッドの多くの道路が封鎖されたことに怒りをあらわにする。「石油価格の下落による経済危機、賃金引き下げ、食料や飲料水さえ不足といった市民生活の窮乏の中で、こんな博覧会は必要でしょうか。もちろん不要です」と断言する。

 もう一人のメディア関係者は「本来、石油をはじめ地下資源も、農業の生産も、食料も豊かなイラクなのに、市民がこれほど生活に苦しんでいる」と批判する。イラクの市場に行くと豊富な種類の果物が並んでいるが、それらはみな輸入品だというのだ。まともな農業政策を放棄して、グローバル資本が儲かることしか考えていない。

汚職と腐敗が元凶

 イラクの経済危機は、グローバル資本と汚職政治家たちが石油収入など巨額の資金を横領することで作り出された。博覧会開催も同じような横領の手段にすぎない。市民はこうしたやり口を見抜いている。サナテレビは、腐敗を暴き、経済の民主化を突き付けようと呼びかけている。

 日本でも、日本維新の会が大阪万国博覧会開催であたかも市民の暮らしが良くなるようなデマ宣伝を振りまいている。グローバル資本の利益のための博覧会など悪質なイベントキャンペーンに対決する重要性を改めて確認できる。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)



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