2017年02月10日 1464号

【TOKYO MXテレビ―笑いながら沖縄を侮辱/「明白な名誉棄損 人権侵害は多大」/辛淑玉さんがBPOに申し立て】

 東京の地上波テレビ局TOKYO MXが沖縄・高江のヘリパッド建設反対運動についてウソで塗り固めたヘイト番組を放送した問題で、「のりこえねっと」共同代表の辛淑玉(シンスゴ)さんは1月27日、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会に申し立てをした。

 申立書では、1月2日の番組「ニュース女子」が住民を「テロリスト」「犯罪者」と呼び、辛さんを「反対運動を扇動する黒幕」「日当を出して過激派を送り込んだ」と誹謗し、「反対派が救急車を止めた」「振興予算が無法地帯に流れている」等の虚偽の内容を報じたとして、MXに対し訂正放送と名誉棄損への謝罪などを求めている。

 衆院議員会館と沖縄県庁を結んで行われた合同記者会見で、辛さんは終始沈鬱(ちんうつ)な表情を浮かべ、「大変むごい番組。笑いながら私を名指しし、笑いながら沖縄の人びとを侮辱した。とても汚いのは、沖縄をたたくために沖縄の人を使ったこと。植民者の手口だ」と語った。

 「一方的に攻撃された。公開処刑だ。私もウチナーンチュも『こいつらは国家の敵。たたいてもいい』とつるされた」と述べ、「沖縄問題というが沖縄に問題はない。沖縄差別問題、レイシズムだ。問われているのは日本のメディア、日本のマジョリティの人たちだ」と力を込めた。

 「沖縄の人たちにメッセージを」と求められた辛さんは「生きててください。生き延びてください。私は東京で頑張ります」。続けて「今回のことをどう受けとめるか」と問われ、1分近い沈黙の後、しぼり出すように「今までもきつかったが、倒れるわけにいかない。どこまでこの社会を信じられるかの闘いだ」。

 沖縄側で会見に臨んだ作家の目取真(めどるま)俊さんは「出演している面々はネット右翼放送チャンネル桜の常連。ただでさえ沖縄に基地を押しつけておいて、こんな悪質な差別意識に満ち溢れたデマを流すのか」と憤る。「ネットと地上波では大きな違い。陰で言われていたことが表に出てきて、公権力を持つ人びとによって公然と沖縄への差別が語られる。去年4月には20歳の女性がレイプされ殺された。12月にはオスプレイが墜落した。こんな重大な事件が1年に2回も起こる地域が全国のどこにあるか。公権力が弱者をいたぶるような恥ずかしいことはやめてほしい」

 弁護士の池宮城紀夫さんは「明々白々の名誉棄損。公共放送としてまかり通ることは絶対に許すべきではない」。平和市民連絡会共同世話人の高里鈴代さんは「男性のレポーターや解説者の隣で若い女性がそれを聞き、理解をするという設定にものすごく違和感を感じた」と番組構成の女性差別を批判し、「政府の決めたことは正しい、反対するのは間違っているという政府応援の報道だ」と指摘した。

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