2017年02月17日 1465号

【千葉原発被害訴訟が結審 /公正判決求める署名継続―判決は9月22日】

 千葉地裁で争われていた原発被害者集団訴訟が1月31日結審し、判決は9月22日と決まった。3月17日には群馬県・前橋地裁で判決が出される。全国1万2千人の被害者が訴えた約30件の集団訴訟は順次正念場を迎える。

 千葉訴訟は2013年3月11日に始まり、第1陣18世帯45人が国と東京電力に約22億円の賠償を求めている。主な争点は、予見できたはずの津波被害の対策を怠った東電の責任と国の監督・規制責任、「ふるさと喪失」に対する強制避難区域内外を問わない賠償、だった。

 最後の意見陳述には原告6人が立った。「区域の線引きにかかわらず、すべての帰還できない人に平等な補償を」「故郷の土を踏むことなく昨年、夫は息を引き取った。6年間の避難生活が報われるように」「放射能をまき散らし、故郷を奪った事故の原因、国と東電の責任を明らかにしてほしい」と訴えた。

 東電は、M8クラスの地震発生を予測した地震調査研究推進本部の「長期評価」について「具体的根拠がなく信頼性に欠ける。予見はできなかった」と過失責任逃れに終始。損害賠償についても国・東電は「中間指針で定めた以上の賠償は認められない」と拒否した。背景には、年間20_シーベルトが安全の基準、避難指示解除地域は戻ることができる、との認識が強く働いている。

 原告団・弁護団・支援団体は、裁判長による現地立ち入り調査、専門家証言の徹底審理を求めてきたが、実行されずに結審となった。空間線量にとどまらず土壌の調査によって汚染を立証することもできないまま審理は打ち切られた。「これではまともな判決文が書けるわけがない」。支援者からは怒りの声が上がった。

 結審の日、朝の決起集会から昼の地裁前集会、口頭弁論後の署名提出行動から夜の報告集会まで常時100人以上が一日総行動を展開した。遠藤行雄原告団長は「ふるさとへの帰還を切望しながらそれを実現できないままに他界された原告の方がたの無念の思いは、裁判に勝利することで初めて報いることができる」とあいさつ。滝沢信弁護団事務局長は「国と東電の過失責任を的確に認定し、損害の完全な賠償を命ずることが、原告らすべての原発被害者の失われた生活と人間の尊厳の回復を可能とする。それが世界最大規模の原発事故を惹起したわが国に課せられた責務」との決議案を提起し、確認された。生業(なりわい)訴訟やいわき市民訴訟、かながわ訴訟の原告らのあいさつ、関西訴訟原告団や京都訴訟原告団からの連帯メッセージもあり、運動の広がりを見せた。

 判決を控えて現在、千葉地裁民事第3部に宛てた「公正な判決を求める署名」が取り組まれている。1月末までに3万2478筆を数えた。署名実行委員長の山本進さんは「集会には全国から連帯アピールがあり、新聞各社が報道。署名も全国から寄せられ、大変励まされた。署名は2月、3月も継続して提出する。決議文の賛同を募り、多くの団体が注目していることを裁判所に見せたい」と話している。

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