2017年03月03日 1467号

【3・12「尊厳ある暮らしを守る集い」へ/寄稿 NPO法人くまハウス 大久保信之】

 一昨年の8月から介護保険自己負担が所得によって2割に引き上げられました。それから1年半が経った2月7日、今度は3割負担を設けるという介護保険制度改正案が閣議決定されました。

 私は負担増、サービス抑制の介護保険大改悪に強い憤りを感じ、3月12日の「もう黙っていられない!尊厳ある暮らしを守る集い」開催に向けて取り組んでいます。区民のみなさん、介護従事者、医療従事者のみなさんの参加を訴えます。

 2015年の制度改正で要支援は総合事業に回され、介護保険から外すことが決まりました。そして2割負担、特養ホーム入所は要介護3以上等々の内容に衝撃を受けました。介護保険制度が崩れていく印象でした。これから高齢者が増えていくのに、それに逆行する制度の縮小です。さらに、見送りにはなりましたが、要介護1、2を「軽度者」として生活援助サービスが受けられなくすること、福祉用具の全額自己負担が提案されました。「国は、厚労省は高齢者の実態を分かっているのか!」が率直な気持ちでした。

 私は現在、小規模多機能型居宅介護をNPO法人で運営しています。要支援2、要介護1の利用者がいます。

 要支援2のAさんは独居です。近くに住み毎日通ってきます。しかし様々な原因で精神的な落ち込みがあると1週間ぐらい休むことがあります。その時は訪問して3回の食事を配膳します。コンビニに出かけてカップめんばかり買うからです。服薬の介助もあります。病気もありますから動けても安否確認が必要ですし、落ち込みへの励ましも必要です。

 要介護1のBさんも独居です。近くのスーパーまで買い物に行けます。サービス提供が始まって訪問すると寝ていたり、テーブルに突っ伏していたり、歩くとヨロヨロする状態でした。原因は夜中に隣人が壁を叩く嫌がらせをして眠れないことでした。しかし妄想のようでした。それまでのサービス利用はヘルパーによる訪問介護だけ。食事は調理できず、出来合いのもので済ませている状況でした。毎日昼夕の食事はデイサービスと訪問で対応し健康管理に努めました。病院の受診も同行する中で笑顔が多くみられるようになり、3か月ほどで隣人への妄想はなくなりました。デイサービスでは手先の器用さをみんなに見せたり、積極的に話しかけて楽しんでいます。

 こうした利用者さんたちを見ると、認定のランクだけでは決められない実態があると思います。一人ひとりは人間です。その時の体調や気分で動きも変わります。そうした変化を含めて受けとめて、その人らしく生活ができるように支えることが生きる意欲につながると思います。それが尊厳を守ることではないでしょうか。私たちが一生懸命取り組んできた介護が無駄にならないようにするためにも3月12日の集いをぜひとも多数の参加で成功させたいと思います。

◆もう黙っていられない!尊厳ある暮らしを守る集い

 3月12日(日)午後2〜4時
 シアター1010(北千住マルイ10階)

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