2017年03月10日 1468号

【沖縄辺野古阻止 暴かれるオスプレイの真実 心一つにした海上パレード】

構造的欠陥オスプレイ

 昨年12月のオスプレイ墜落事故で恐怖は現実となった。多くの県民が危険と感じる中、2月11日名護市、12日那覇市の沖縄大学で緊急学習会「オスプレイ墜落事故の実態と現状―MV22配備の撤回を」が開催された。主催は「沖縄の『基地と行政』を考える大学人・研究者の会」。

 まず、オスプレイの構造的欠陥として、通常のヘリコプタ―に比して機体が重い上にプロペラが短いためエンジン停止等の緊急時のオートローテーション(自動回転)機能が効かず急降下する問題、また、重大事故率が2012年10月普天間基地配備時の説明の1・93件(10万飛行時間あたり)から15年12月段階で3・69件に急上昇している問題などを確認した。

 日弁連基地問題研究部会の福田護副部会長は、日米地位協定の曖昧さを指摘し「日本のどこの空でも飛ぶことが可能」との法的問題を提起した。オスプレイ東日本連絡会の新倉裕史さんは「各自治体で飛行計画を出させろ」と、日本政府への情報公開の全国的な運動を呼びかけた。

発見されたマニュアル

 オスプレイの危険性を日米両政府がまた隠していた。これまで地元自治体に説明していたオスプレイの最低飛行高度は、500フィート(約150b)。ところが、海兵隊の「戦術即応マニュアル」は最低高度200フィート(約60b)と定めていた。「安全確保のために500フィート以上」と繰り返し説明していながら、実際には200フィートで運用されていた。これでは、緊急時のヘリモードから固定翼モードに転換する12秒間の間に地面に激突することも承知の上で飛ばしていたことになる。

 さらに緊急時の対処手順などをまとめた米海軍のチェックリスト(確認書)の全容も判明した。空中給油中に給油機のホースや装備の一部がオスプレイに接触する可能性があるとし、プロペラに当たれば「大惨事を引き起こしかねない」と指摘。機密保持のため、緊急の際、チェックリストを「あらゆる手段で破壊する」指示も付されていた。

 そのチェックリスト内容が記されたフライトマニュアルが12月、名護市安部(あぶ)の墜落現場から南に20`の宜野座村(ぎのざそん)城原海岸に漂着していた。マニュアルは、プラスチック製のA5判サイズ。オスプレイ乗員は墜落時にそれを破壊することも持ち出すこともできなかったのだ。当日の訓練任務も記載されており、夜間の暗視鏡ナイトビジョン・ゴーグルを使用した超低空飛行での空中給油だったこともわかった。

 日米両政府は、訓練内容を一切明らかにしないまま闇の中に閉じ込めようとした。だが、三次元の姿で見つかったマニュアルで真実が陽の目を見ることになった。年末、米軍はオスプレイ残骸回収は終わったと発表していたが、2月11日海中から100`ものラジエーター(冷却装置)が発見された。ずさんな作業は沖縄防衛局とかわらない。   

 3月6〜17日までの12日間、新潟県の関山演習場と群馬県の相馬原演習場で、陸上自衛隊と沖縄の米海兵隊による日米共同訓練が実施される。そこに普天間のオスプレイ6機が参加する。事故原因も明らかにせず、いいかげんな発表をくりかえす。海兵隊のオスプレイ全国配備に反対の声を上げるときだ。

「決してあきらめない」

 沖縄防衛局は最大14トンものコンクリートブロック投入作業を始めた。2月18日、名護市瀬嵩(せだけ)の浜沖で海上パレードが行われた。10隻の抗議船と22艇のカヌーが大浦湾を行進し、浜には300人の市民が結集。キャンプ・シュワブゲート前でも100人以上が座り込みを続けた。

 カヌー隊は、新しいフロートも突破してブロック投入を阻止しようと決死の行動を行っているが、海上保安庁による拘束が連日のように続く。ゲート前でも工事車両の入構を阻止する座り込みに、機動隊のごぼう抜きが続いている。

 そうした中での海上パレードは、陸と海の日々の闘い、そして市民の心を一つにする取り組みとなった。「海をこわすな」「海上チームは負けないぞ」とプラカードを持ってカヌーからボードが振られ、応えて浜の参加者の横断幕が上下に波打つ。激励のエールが交わされる。「決してあきらめない」。市民の決意は固い。

 その前日2月17日、沖縄防衛局がキャンプ・シュワブ陸上部に生コンクリートプラント(製造機)の設備建設工事に着工したことがわかった。これまで、生コンを外部から搬入しようとしても、ゲート前の座り込みで入構までに時間がかかり生コンが固まって使えなくなる事態が続いていた。防衛局は、あくまで兵舎建設の工事に使用するもので埋め立てとは無関係と説明。一方、沖縄県は、辺野古新基地建設に転用される恐れがあるため反対を続けてきた。防衛局はここでも強行突破した。

 何が何でも新基地建設強行を狙う安倍政権。翁長(おなが)知事による埋め立て承認の撤回―知事権限行使が急がれる。     (N)



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