2017年03月17日 1469号

【森友学園問題の核心は/海外メディアはこぞって指摘/政府と極右との結びつき】

 森友学園が運営する塚本幼稚園(大阪市淀川区)。その運動会の様子を記録したDVD(園が配布)には、次のような園児の「選手宣誓」が映っていた。

 「大人の人たちは、日本が他の国に負けぬよう、尖閣列島・竹島・北方領土を守り、日本を悪者として扱っている、中国・韓国が心改め、歴史で嘘を教えないよう、お願いいたします。安倍首相がんばれ、安倍首相がんばれ。安保法制、国会通過よかったです」

 「幼稚園児にここまでやらせるのか」と驚いた人は多いだろう。だがこれは森友流「愛国教育」のほんの一例にすぎない。毎日「教育勅語」を唱和させる。軍歌や戦前の軍国歌謡を歌わせる。自衛隊の式典に参加させる等々。中でも最悪なのがヘイト思想の刷り込みである。

 中国・韓国嫌いを公言する籠池理事長夫妻は「中国人・韓国人は悪者だ。ウソつきだ」と、園児にも保護者にも常日頃から言っていた。「家族で韓国旅行に行く」と話した園児に対し、教師が「そんな汚い国に行くもんじゃない」と叱責したこともあったという。

 安倍晋三首相の昭恵夫人が来園した際(2014年4月)にはこんな出来事があった。籠池理事長に指名された園児が「中国から鉄砲とかくるけど、ぜったい日本を守ろう」と発言。続いて全員が「日本を守ってくださいね」と“お願い”したのである。

 昭恵夫人は満面の笑みで「ありがとう。安倍総理大臣に伝えます」と答えている。園児にこんな茶番を仕込む側もひどいが、それに「感動」するほうもどうかしている。双方とも教育に携わる資格はない。

 しかし、そのような「レイシズムを主張するウルトラ・ナショナリスト教育機関」(英ガーディアン紙)が、一部政治家や文化人の間では大いに賞賛されていた。安倍政権の教育政策を先取りしているとみなされたからである。

 森友学園が開校を目指す「瑞穂の國小學院」をめぐる疑惑もこれで説明がつく。夫人が名誉校長を務めるなど、安倍首相のお墨付きがあるからこそ、政権に媚びへつらう政治家や官僚が設立のために一肌脱いだのである。その結果が国有地の激安払い下げであり、異例のスピード審理による「認可適当」答申であった。

 2月24日付のニューヨークタイムズ紙は「安倍首相は教育の再生を重点政策に掲げており、それゆえ塚本幼稚園での実践内容を支持している」と指摘した。また、アイルランドの有力紙「アイリッシュタイムズ」は、籠池理事長が役員を務める「日本会議」を詳しく紹介する特派員レポートを掲載した(2/23付)。

 このように、海外メディア「日本政府と極右・排外主義勢力との結びつき」自体を問題視している。当然であろう。森友学園問題の核心はまさしくそこにあるのである。    (O)
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