2017年03月24日 1470号

【保育所ふやして! 保育士ふやして!/よりよい保育めざし国会大行動/「待機児童ゼロ」公約すてた安倍政権に怒りの声/“規制緩和でなく 死なない保育園を”】

 「保育園落ちた」ブログから1年。待機児童解消が一向に進まない中、今年も国会アクションが取り組まれ、赤ちゃん連れの親たちが切実な思いを訴えた(2月24日)。

 「(保育所入所)不承諾通知が来て絶望している。仕事を辞めなくてはいけない。せっかく経済的に自立できると思っていたのに、保育園落ちたせいで『さようならわたしの自立』という気持ち」

 「大田区に住み続け税金も納めてきたのに、なぜ公のサービスを受けられないのか。子どもの未来は楽しくあるべきはずなのに、第一歩から憂鬱な気分。2人目を考えることはできない」

 認可保育所に「落ちた」母親たちの悲痛な声が続く。

 昨年保育士として参加した男性は今回、父親の立場で発言した。

 「品川区では1190人に利用不可通知が届いたが、待機児童としてカウントされるのは100人くらい。育休延長や認可外保育施設に入る場合もカウントしないと実態はわからない。待機児童は20年前からの問題なのに、保育所整備が全然進んでいない。どうして与党議員が声を聞きに来ていないのか、怒りでいっぱい」

 保育の量だけでなく質を上げてほしい、というのが親たちの共通した願いだ。昨年4月、保育事故で子どもを失った大阪の母親がマイクを握った。

 「当時1歳2か月の男の子を登園初日に亡くした。14時から預けてわずか2時間。認可外施設だったが、大阪市が基準を満たしていると紹介し、保育士派遣をしている会社の直営ということもあり信頼した。事故後に、園長は保育の知識がなく職員も保育士は3人中1人だけと知った。せっかく保育園に入れても死んでしまったら全てを失う。規制緩和ではなく、むしろ基準を上げて、死なない保育園を増やして待機児童を解消してほしい」

 埼玉の被害者も「保育園は、親も関わっていっしょに子育てしていく大切な場所。保育士さんは、地域の子育てを支えている大切な存在。給料だけでなく、休日・休憩、会議・研修の時間もしっかり保障してほしい。子どもが成長していくのにふさわしい保育園を増やしてほしい」と力を込める。

 保育現場の厳しさと要求を訴えたのは、認可保育所で30年働く保育士。

 「処遇の悪さがクローズアップされ、昨年度より一層応募が少ない。1人の保育士を6園くらいで取り合う状況。忙しさも保育士のなり手を減らしている。保育園の最低基準は1948年につくられて以来ほとんど変わっていない。キャリアアップ制度ではなく、すべての保育園職員の給料をせめて5万円アップし、最低基準を見直して人手を増やしてほしい。この2つの柱が子どもの命と豊かな育みを守るためにいま急いですべきこと。『保育士をやめたのは私だ』ではなく『保育士続けているのは私だ』が増えることを心から願っている」

 保護者らの声を受けた国会議員は、保育をめぐる問題の解決に向けて改めて決意を表明。

 民進党の山尾志桜里衆院議員は「安倍政権は来年3月までに待機児童をゼロにすると約束していたが、総理はその期限を忘れており、『達成は厳しい』と言った。みなさんの声を届けたら『感情的なことを言うな』とも。私たちでものごとを進めていくしかない」

 共産党の田村智子参院議員も「国や自治体はまだギリギリの努力をしていない。『今たくさん保育園つくっても、少子化で将来余ってしまう』という意見がたくさん出てくる。余るなら最低基準を引き上げ、もっと広く、少ない人数で子どもを受け入れればよい。これだけ落ちた人がいるのだから、認可保育所をつくれと言い続ける。現場の声に応えて保育士を増やせる賃金体系にすることも、一歩も引かずに求めていく」と語った。



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