2017年03月24日 1470号

【みる…よむ…サナテレビ(433)/2017年3月11日配信 イラク平和テレビ局in Japan/バグダッドのゴミの山】

 2017年1月、サナテレビはバグダッド南部のザーラ地区住民の生活を取材した。この地域では、ゴミ回収などの公共サービスが切り捨てられている。住民は怒りの声を上げた。

 石油産出国であり経済的にはかなり豊かであるはずのイラク。その首都の居住地で、ゴミや汚物が放置され、積み上げられている冒頭の映像に驚かされる。2003年の占領からもうすぐ14年になる。だが、バグダッド市民は最低限の衛生さえ維持されない生活を強いられ続けている。

 ある住民は不潔なゴミが保育所の近くに捨てられていることに怒る。「雨とぬかるみ、泥水と生ゴミは、子どもの病気のもとになる」と訴える。健康への悪影響が心配だ。しかも、「ゴミの回収などを担う自治体労働者に、バグダッド市当局は10が月以上も賃金を払っていない」。その上、排水路もなく、電気は住居ではなく他に回され、生活は踏みにじられている。

 次に登場する女性は「市当局は近隣の生ゴミをかき集め、家の窓の高さまで積み上げた」と憤る。そのせいで借金までして3回も庭の清掃をしなければならなかったと言う。

 「生ゴミは放置され、市当局のトラックは10日から15日に一度にやってくるだけ。雨の日は下水管を閉じるので、生ゴミがあふれているところに汚水が流入している」。市民がこうした実態を訴えても、「市当局は話を聞くだけで何もしない。この居住地域のことを何とも思わない」という対応だ。

 市民の窮状の一方で2月22日、日本の国際石油開発帝石(INPEX)は南部のブロック10鉱区で新たな原油を含んだ地層を発見。「当社にとってイラクの油田プロジェクトは初めて。極めて良好な結果」と嬉々として発表した。ブロック10鉱区とは、自衛隊が占領軍として長期駐留したサマワの真下にある有望油田地帯だ。100万人以上の命を奪い今日の腐敗政権を作った占領。その「戦果」を日本のグローバル資本は誇示しているのだ。

 映像のような市民生活の惨状を作り出している背後に安倍政権・日本資本がいる。イラク市民と連帯し、安倍政権の戦争と排外主義をともに打ち倒していかなければならない。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)



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