2017年03月31日 1471号

【未来への責任(221)/朴退陣―正義を求める市民の力】

 3月6日、20回目を迎える公開フォーラム「戦後補償裁判の現状と課題2017」が戦後補償裁判を考える弁護士連絡協議会と戦後補償ネットワークの主催で行われた。

 韓国の崔鳳泰(チェボンテ)弁護士が「韓国戦後補償裁判の現状と課題」と題して特別報告。まず、2015年12月28日の「慰安婦」問題についての韓日「合意」は「無法な野合」であり、韓日平和の最大の障害だと指摘。また、朴槿恵(パククネ)を退陣に追い込んだキャンドルデモについて「核心的問題の一つが『慰安婦』問題の正義による解決である」とし、「日帝による戦争被害問題に対する正義に基づく解決は、韓国次期民主政府の樹立と合わせ、東アジアの緊急な課題になる」と述べた。

 韓国の戦後補償裁判の現況については、(1)日本戦犯企業を対象にした損害補償裁判14件、(2)日本軍「慰安婦」に関連した訴訟5件、(3)その他(サハリン憲法訴願、BC級被害者憲法訴願)―があることが報告された。日本企業に賠償を求める裁判では2012年5月24日の「日本の不法・無効な植民地支配を認めることは、大韓民国憲法の『核心的価値』に反する」とした大法院判決以降すべての訴訟で原告が勝利判決を勝ち取っている。しかし、大法院の最終的な判断が待たれている事件は3年以上も結論が先延ばしにされている。

 これに対して、2016年11月23日、日韓の戦後補償団体は韓国大法院に「陳情書」を提出した。提出団体は韓国から*勤労挺身隊おばあさんとともにする市民の会、*太平洋戦争被害者補償推進協議会、日本から*名古屋三菱朝鮮女子勤労挺身隊訴訟を支援する会、*第二次不二越強制連行・強制労働を支援する北陸連絡会、*日本製鉄元徴用工裁判を支援する会、*三菱広島・元徴用工被爆者の裁判を支援する会―の6団体。「陳情書」は「大法院がすでに十分な検討を通じて法律的な争点をすべて判断し、破棄差し戻し控訴審裁判所が大法院判決に基づいて原告への慰謝料を認めたこの事件について、このように最終的な判断が遅れているのは納得することができません」とし、その原因について「本当に偶然にも、この事件の再上告審が進行している3年余りの期間が朴槿恵大統領の在任期間であるということが影響を与えているのではないか、問わずにはいられません」と、普遍的正義にふさわしい判断が早期になされることを要請した。

 韓国憲法裁判所は3月10日、国会に弾劾訴追されていた朴槿恵大統領の罷免を宣告した。2016年10月29日の第1次キャンドルデモ以降、延べ1千万人以上の市民がこれに参加、市民の力を示したのだ。この力は、戦後補償問題に大きく影響する。3月6日には、野党の共に民主党カン・チャンイル議員が「対日抗争期強制動員被害調査及び犠牲者支援特別措置法改正案」を発議し、また、大韓弁護士協会は「強制動員被害者人権財団」設立のための特別法制定に向け国会ロビー活動を開始している。安倍を追いつめ、日本でも戦後補償を広げよう。

(グングン裁判の要求実現を支援する会・御園生光治)

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