2017年04月07日 1472号

【議会を変える 共謀罪意見書も議会の役割から 京都府向日(むこう)市議 杉谷伸夫】

 3月16日、向日市議会は「共謀罪」創設を行わないことを求める意見書(要旨は前号4・5面参照)を賛成多数で可決し、国に提出しました。今年に入って安倍政権が今国会での成立を表明し、2月末に政府原案が明らかになったばかり。「現代の治安維持法」ともいわれる重大な法案にも関わらず、国民に対する説明(=テロ対策)はごまかしに満ちた極めて不誠実なもので、そのため法案の本質(=共謀罪の創設)が持つ意味が伝わっているとはとても言えないと思います。

 議会の意見書とは、議会の意思を国政に反映させるため、国会や政府に対して提出する文書です。市町村議会の多くは、次に開かれるのは6月なので、法案が強行成立されている可能性もあります。ですから、共謀罪の創設により市民の権利、市民社会の自由が根底から脅かされる怖れから、国の暴走を止めるために住民を代表して緊急に提出する必要があると考え、3名の議員で共同提案しました。

 それと私が議会に意見書を提案するもう一つの意味は、国政に関する重要な課題について、自治体の議会でもっと議論すべきだということです。「国政のことは国会でやれば良い」と言う人もいますが、そうではありません。市民の生活、権利に関する国の政策については、自治体議会でもどこでも、あらゆる場で議論するのが民主主義です。最終的な決定権は国会にある、というだけのことです。

 しかし現実には、私の知る限り議会は本当の議論をしていません。例えば向日市議会では、意見書は最終日に上程され、賛成、反対の意見を述べあって、その場で採決するだけ。質疑や議論の応酬はありません。なぜでしょう。自治体議員の多くが国政の政党系列化され、意見書への賛否が、政権にプラスかマイナスかで判断され、肝心の「市民の生活や権利にとってどう影響するのか」の点から掘り下げて考えられていないからだと思います。

 実は今回の「共謀罪」の意見書をめぐっては、一つの「事件」がありました。一人の議員(議会の改革を巡っては私と意見が合う人)が、意見書に対する質問をあえてしたのです。質問の内容はさておき、日頃のその議員の意見から、「共謀罪法案が、市民にとってどういう影響があるのか、もっと議論しようじゃないか」という問題提起だと受け止めました。

 議会の役割は、決定するだけでなく、議論し、論点を市民に示すことです。そのような議会をめざして、これからも取り組みたいと思います。
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