2017年04月14日 1473号

【みる…よむ…サナテレビ(234)/2017年4月1日配信 イラク平和テレビ局in Japan/トランプの移民排斥にNO!】

 トランプ米国大統領は就任直後の1月27日、イスラム諸国7か国(イラク、イラン、シリア、イエメン、ソマリア、スーダン、リビア)国民の米国への入国禁止令を発令した。サナテレビは2月、不当な大統領令についてバグダッドの市民にインタビューした。

 数多いイスラム諸国中、7か国だけを取り上げて入国を禁止するのは、トランプが気にくわない諸国の市民を「テロリスト」と見なして差別する、分断と憎悪を煽る手法だ。

 今、米軍はイラクとシリアで無差別爆撃を強め、連日何十人、何百人という市民が殺されている。トランプは、IS(「イスラム国」)を一掃した後でもイラク派兵を続けるつもりだ。トランプの差別と排外主義は新たな戦争を引き起こす。

 悪名高い入国禁止令に対して、バグダッドの市民は次々に怒りを表明する。最初に登場する男性は「こんな政策をとるとは、アメリカはこれでおしまいだ」と言う。まさに「自由と平等」を謳っているはずのアメリカ自身を否定し破壊しているからだ。

 別の市民は「トランプはイラク人とは何者でイラク革命とは何かを知らない」と語る。1958年のイラク革命では国民が独裁者を打ち倒したのだ。

 市民はトランプの支配が決して思う通りには続かないことを見通している。対象国は一斉に反発し、米国内でも市民が声を上げている。インタビュアーが「イラク市民はこんな政策は生まれる前から死んでいると断言する。アラブ諸国と第三世界に敵対しているのだから。アメリカの資本家、特にトランプ政権の棺桶のふたに釘を打ち付けることになるだろう」と指摘するとおり、トランプ政権はむしろ追い込まれている。

 インタビューの最後に「『アラブの春』では人びとが街頭に出て腐敗した政府に反対する声を上げた」という発言がある。2010〜2012年、中東・北アフリカ民主主義革命によってチュニジア、エジプトなどの独裁政権が打倒された。不正を許さない市民の気持ちが伝わってくる。

 入国禁止令は3月にも出されたが、内外の強い反対運動の中で、連邦裁判所によって執行停止となっている。トランプとともに排外主義と戦争政策を進める安倍政権に対する闘いと結び、世界の市民と連帯してトランプの策動を止めよう。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)



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